特集・連載
マンガで学ぶ、オールデン買いたい新書・第5話
工場裏の倉庫にあったラストから誕生したオールデンのタンカーブーツ
マンガで学ぶ「オールデン買いたい新書」 高級紳士靴は星の数ほどあれど、靴を形作るラスト(木型)に仰天逸話を持つのは米・オールデン! あの日、あの時、あの場所での意外な人とモノとの出会いが、オールデンに“ラスト”ストーリーをもたらしているのです。そこで今回はマンガ形式(?)で皆様にお届けッ! 知っているようで意外と知らない小話、アナタはいったいいくつ知っていましたか? この記事は特集・連載「マンガで学ぶ「オールデン買いたい新書」」#05です。
[第5話]タンカーブーツ&ミリタリーラスト
「インディ」の誕生から20年くらいたった頃、もう一つの傑作「タンカーブーツ」が生まれました。お手本の古〜い官靴に似せようと、
工場裏の古びた倉庫に張られた大捜査線。そうしてようやく、「これは使える!」と発見されたのが「379=ミリタリーラスト」だったのです。
アメリカ人は最初、「おじいちゃんの靴を作るの!?と」不思議がっていました。
しかし、完成した靴は目を見張るほどにカッコよく、最後は社長も太鼓判を押したんだとか。
工場裏の大捜査線
ミリタリー系シューズが展開されていなかった’90年代前半、日本の輸入代理店を務める血脇氏から一足の革靴が持ち込まれます。
トウが丸みを帯びた’40年代の士官靴。アメリカ人にとってそれは、官位を退いた祖父が今なお誇らしげに履いている靴そのものでした。
「おじいちゃんの靴を!?」と不思議がるアメリカ人でしたが、血脇氏は「大人のブーツを作りたい!」とラストの捜索を依頼。使わないものが押し込まれた工場裏の倉庫で大捜査線が張られ、「これなら!」と発見されたのが379X、通称ミリタリーラストだったのです!
あの日あの時巡り合ったことで生まれたタンカーブーツ。無骨かつ上品、アメカジにもモードにもハマる懐の深い傑作にオールデンのアーサー・ターロウ社長も感激し、インディブーツと双璧をなす定番の座に据えられたのです。
Alden[オールデン]
TANKER BOOT(タンカーブーツ)
1912年にマンソン博士が開発した軍用ラストをベースにしたラスト「379X」を採用。贅沢なコードバン使い、職人の手作業によるモカ縫いが存在感抜群な本ブーツは1995年に誕生した。無骨な見た目に反して、クレープソールの履き心地は柔らか。10万5000円。
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年11月号の記事を再構成]イラスト/TOMOYA