特集・連載
上質素材のニューノーマル研究【ソロテックス®編】
一点上質主義 これから先どうなっちゃうの〜!?って、こんな時代に欲しいモノがあっても買えないよ(涙)って人も多いことかと。不要不急の外出はせず、買い物は生活必需品だけ……、という窮屈な日々に改めて気づかされるのは「いらないモノはいらない」という当たり前の真実。それならば! こんな時代だからこそ、「これさえあれば」を考えるのが“GOOD LIFE BIBLE”たるビギンの使命。徹底的に無駄を省いて、「これから」の生活を豊かにしてくれる“いいモノ”を一点だけ買い足してみませんか? というのが本特集のご提案です。 この記事は特集・連載「一点上質主義」#18です。
世界に誇れる宝の糸と評される「ソロテックス」は、帝人フロンティアが開発したポリエステル繊維。バネのようならせん状の構造ゆえに戻る力に優れ、化学繊維の常識を覆す多くの機能を備えたその注目素材の真価に迫る。
耐洗濯、速乾、軽量、ストレッチ……!
超ハイテク素材なのにツイードの起毛感まで再現
(帝人フロンティア 中野 茂さん・談)
戻りの強さ、つまりキックバック性に優れる「ソロテックス」ですが、分子構造が特異ならせん構造ゆえ、じつは天然繊維のようにとても柔らかいんです。
らせん状の分子構造こそウールライクな質感を生む驚異の“柔らかさ”の秘密だ
それはカシミアを上回るほど。業界の専門的な指標でヤング率という数値があります。物質の硬さを示すのですが「ソロテックス」は極めて低ヤング率の素材なんです。
今回ハバーサックに採用いただいたのは、数種類ある「ソロテックス」素材のなかでも「フルフラン」という柔らかさを生かして嵩高加工を施した素材。一般的な化学繊維は繊維長が長く、それがふっくらと毛羽感のある天然繊維との違いに繋がります。
そこでさまざまな太さの繊維を混織し、ふくらみをもたせて紡毛調にすることで、ポリエステル×ナイロンなのにウールツイードのような起毛感や風合いが再現できるわけです。
またポリエステルは高温でないと染色できませんが、そうすると熱で糸がこわばる傾向にあります。しかし、ソフトな「ソロテックス」なら染色後もその心配はなし。今作のような英国伝統のガンクラブチェックも、天然ウールと見紛う品質で表現することが可能です。
何よりソフトな繊維ということは肌触りが滑らかで、快適な着心地に直結します。またウールに比べてシワになりにくく、洗濯耐性も優れるためイージーケア。そんなところも、ハバーサックのようなテーラーベースのブランドに評価いただける理由かもしれません。
HAVERSACK[ハバーサック]
ジャケット/パンツ
毎季恒例のセットアップをテーラードでなくCPOジャケットで。ワイドイージーパンツはソロテックスならではのリラックス感あるドレープが◎だ。ジャケット2万7000円、パンツ2万3000円。(クラウドナイン)
帝人フロンティア 衣料営業企画部
中野 茂さん
数十年前に開発されていた「ソロテックス」に再注目。名だたるブランドへと橋渡しをした、今日の「ソロテックス」人気の陰の仕掛人。
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。