特集・連載
1960年~ 芸術の国・イタリア復活! 革新デザインの時代
芸術の国・イタリア復活! 革新デザインの時代
傑作インテリアの“実は”な実話年表 ミッドセンチュリー、バウハウス、イームズ、ヴィトラ……etc. インテリアの歴史に残る名作家具にはちゃ~んとそのワケがあるんです! そこで今回は傑作家具の歴史を振り返りつつ、見た目ではわからない“実は〇〇”な知られざる裏話を紹介します。 この記事は特集・連載「傑作インテリアの“実は”な実話年表」#05です。
戦後の痛手から立ち直った世界随一の芸術国家・イタリアを中心に、これまでの実用的でシンプルなデザインに遊び心を加えたドラスティックな傑作が続々登場しました。
1960年
実は……某芸能一家のために作られた!?
Tendo Mokko[天童木工]
低座イス
坂倉準三の竹籠座低座椅子が原型。畳の上でもTVを見るときはくつろぎたいという要望に応え、歌舞伎役者や女優などが存する某芸能一家の邸宅に納められたそう。その後さらに改良されて現在の姿に。背と座のたおやかな曲線が印象的。W55×H65×D68.3cm。7万1000円~。(天童木工)
坂倉準三(日本)
1962年
実は……ココの穴にも意味があるって知ってた?
FLOS[フロス]
アルコ
美しい弧を描く照明。その台座にある穴が、棒を通して本体を動かすためってご存じ? 石造りの建物は天井から照明を吊るす&移動に工事が必要ですが、コレなら“穴”により移動は楽々。つまり、手軽に狙った場所を照らせるってワケです。Φ32×H230×D220cm。26万円。(日本フロス)
ココの穴
カスティリオーニ兄弟(イタリア)
1962年
実は……電気部品工場に勤めた経験もヒントに!?
OLUCE[オルーチェ]
アクリリカ
アクリル樹脂に蛍光管の光を通した照明。それまでの合理的なデザインとは違い、アクリルをC形に曲げたその美しい造形で世界を驚かせました。彫刻や絵画などに精通し、電気部品工場に勤めた経験もあるジョエだからこそ作れた名品ですね。W24×H23×D26cm。49万7000円。(スタジオノイ)
ジョエ・コロンボ(イタリア)
1964年10月10日
東京オリンピックが開催される。
1967年
実は……悲願の世界初プラスチック一体成型
vitra.[ヴィトラ]
パントン チェア
発想はあっても当時の技術では叶わなかった家具は数知れず。本作は、型に流し込めば複雑な形も簡単に、しかも大量生産できるプラスチックで悲願の一体成型を実現! 美しさ、手頃な価格がウケて大ヒットしました。W50×H83×D61cm。3万6300円。(ヴィトラ)
ヴェルナー・パントン(デンマーク)
1969年
実は……真空パックで売られていた
B&B Italia[ビー・アンド・ビー イタリア]
UP5_6
ウレタン素材を使い、大らかな母性をイメージしてデザインされた椅子。そのユニークな形状もさることながら、注目すべきは当時の販売方法です。これほど大きな椅子を真空圧縮させ、ハサミを入れると本来のサイズを取り戻すという革新的な手法でリリース。世界中で大きな話題となりました。W120×H103×D130cm。Φ57cm(オットマン)。71万5000円~。(B&B Italia)
当時、板状に圧縮した真空パックで販売
ガエタノ・ペッシェ(イタリア)
1969年7月20日
アポロ11号が月面着陸。
1970年
実は……製図現場の収納用に作られた
B-LINE[ビーライン]
ボビーワゴン
回転式トレイなど4 面すべて使える実用性やポップなカラーリングが◎なボビーワゴン。元々は製図用デスクの補助として作られたもの。㎜単位の精密な作業が求められる現場だからこそ、効率よく収納&取り出しやすい設計になっているわけですね。W43×H74×D42cm。5万3000円。(メトロクス)
ジョエ・コロンボ(イタリア)
1972年
実は……車をも支える強靭な段ボール
vitra.[ヴィトラ]
ウイグル サイド チェア
以前から軽量で安価な段ボールの家具はあったものの、プラスチックのそれには敵いませんでした。そこで登場したのが本作。構造と素材を見直すことで、自動車を支えるほどの高い耐久性を獲得。その名を世界に轟かせました。W61×H87×D35cm。9万4000円。(ヴィトラ)
車を載せても壊れない!!
フランク・ゲーリー(アメリカ)
1986年
実は……工事現場で使われる素材を採用
SEMPRE[センプレ]
How High the Moon
精巧に張り巡らされたメッシュ素材、実は工事現場で使われるエキスパンド・メタル。金属の先端を溶接して成型する、途方もない作業を経て生まれた軽やかな意匠は、もうため息もんです。W96×H70×D83cm。150万円。(ギャラリー田村ジョー/センプレデザイン)
倉俣史朗(日本)
イッセイ・ミヤケが惚れた世界観
パリコレの常連であるイッセイ・ミヤケのブティックに、倉俣氏のメッシュ素材が取り入れられたことも。
※表示価格は税抜き
[ビギン2020年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。