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できれば高級時計を取っ替え引っ替えしたいけど、そんなの現実的に無理。そこでここでは時計ローテに即加えられる手頃な価格ながら、しっかりセンスのよさも見せつけられるモデルを厳選。時計好き、服好きの2人がインプレッションします!

デイリー傑作中継ぎ時計
写真右下:左/服好きスタイリスト 武内雅英氏 右/時計好きライター 吉田 巌氏 

武内 中継ぎって言葉、どうなんですかね? 気分を悪くされる時計ブランドもいませんかね。

吉田 中継ぎは大事よ。日本じゃ意外と評価が低いけれど、ここがしっかりしていないチームは勝てないし、長いシーズン戦えない。

武内 それ野球の話でしょ?

吉田 時計も同じだなと思ってさ。そりゃあ高級時計を日替わりで着けられればいいけど、そんなのお大尽じゃない限り無理。だから手頃な価格の時計で繋ぐんだけど、ここで妥協すると途端にダサくなるし、気分も上がらない。

武内 そこでこのページというわけですね。デイリーに気兼ねなく使える価格帯でスタイルアップに効く時計を集めたと。たしかに1、2本のエース級を無理くりローテするより、シーンや装いに合わせてこういう時計を着け替えたほうが断然お洒落に見えるかも。

吉田 たとえばこの「ドゥッファ」はどう。いかにもドイツのバウハウス哲学を体現したような理知的な佇まいでしょ? ちなみにこのブランドは1864年に誕生した時計とオルゴールの製造工房をルーツとし、1920年代にはドイツ最高峰のクロックメーカーとしてその名を馳せた名門。
 

「ほんのりポップな味が女性にウケそうですね」―武内さん

Dufa ドゥッファ
Dufa[ドゥッファ]

Dufa ドゥッファ

武内 シンプルで合わせやすそうですね。それでいて青×赤×黄のカラーリングやウネウネしたGMT針でポップな要素も。この配色や幾何学モチーフ、昔一世を風靡したアラン・シルベスタインの時計を彷彿させるなぁ。こっちのほうがシンプルで着けやすいけど(笑)。

Dufa ドゥッファ
「時計はシンプルなデザインこそ難しい」―吉田さん
「作りのよしあしがモロわかりですもんね」―武内さん

吉田 あのアランもバウハウスの影響を多大に受けていたからね。同じバウハウス流れなら、「ユンハンス」の新作もいいよ。
 

「研ぎ澄まされたデザインに最新の電波ムーブを搭載」―吉田さん

JUNGHANS ユンハンス
JUNGHANS[ユンハンス]

武内 ボク、ここの“マックス・ビル”シリーズが好きなんですが、これもいいですね。白に赤がピリッとアクセント的に利いていて。

吉田 これは日の丸をイメージしたカラーらしいよ。’20年東京開催へのユンハンスからの粋なお祝いだね。ちなみにこのブランドは世界で初めて電波時計を作ったことで知られ、今作も自社製造の最新の電波式ムーブメントを積んでる。

JUNGHANS ユンハンス

武内 「ドゥッファ」も「ユンハンス」もケースがアンダー40mmってところもいい。こういう小ぶりの薄型時計って、スーツやジャケットはもちろん、休日のニットスタイルなんかもぐっと品よく知的に見せるんですよね。

吉田 シンプルでも、差し色が利いているからオジサンぽくならないしね。両方ともベルト裏のカラーまでこだわっているのもさすが。

武内 おっ、「マッキントッシュフィロソフィー」の新作時計もあるじゃないですか。ここはファッションブランドにもかかわらず、最近は時計もめちゃ本気なんです。
 

「出張の多いビジネスマンには最強のツールかも」―武内さん

MACKINTOSH PHILOSOPHY マッキントッシュ フィロソフィー
MACKINTOSH PHILOSOPHY[マッキントッシュ フィロソフィー]

吉田 詳しいね。

武内 この間撮影でお借りしたんですよ。搭載するムーブメントはブルートゥース通信機能を搭載しているから、専用アプリで手持ちのスマホと連携すれば海外でも常に正しい現地時刻と日付を表示してくれる。

吉田 その日付表示の方法も面白いな。8時位置ボタンを押すと秒針がクルーっと動いて外周の日付表示を指し示すわけか。でもって10時位置のボタンは3分タイマー用と……。ん、この時計ってケースは軽量なチタン? U‒3万円なのにやるなぁ。

MACKINTOSH PHILOSOPHY マッキントッシュ フィロソフィー

武内 機能性抜群のトロッタースーツにこの時計を着けてれば、出張に最強かもしれませんね(笑)。

JUNGHANS ユンハンス
「これはスーツに似合うんじゃない?」―吉田さん
「ジャケパンのほうがいいでしょうね」―武内さん

吉田 パイロットウォッチ的なちょっと硬派めなデザインもスーツの引き締め役にいいかも。一方こっちのイタリアの新鋭「スピニカー」はダイバーズ風だね。
 

「インナーベゼルがヴィンテージ感を増幅」―吉田さん

SPINNAKER スピニカー
SPINNAKER[スピニカー]

武内 これはスーツというよりジャケットにハマる顔立ちです。もちろんカジュアルにも合いますが。

吉田 こういうインナー式の回転ベゼルって’50〜’60年代の初期ダイバーズに見られるディテールなんだよな。だからかどこかヴィンテージな味わいも。ベージュの夜光塗料もそんな印象を後押し。

SPINNAKER スピニカー

武内 ブルー×ブラウンの色合わせや、ガツンと肉厚なレザーベルトを装着しているところもいかにもイタリアっぽいですね。

SPINNAKER スピニカー

吉田 日本製の自動巻きムーブメントを搭載し、それをシースルーバックで開陳。なのにちゃんと18気圧防水を確保しているのも凄いな。これは今後人気出そう。

武内 こちらの「シチズン」は、なんといってもこのグリーン文字盤が魅力でしょう。最近グリーンはファッションでも時計でもトレンドカラーですが、何十万円もする高級機でグリーンカラーを買うというのは、正直かなり勇気がいると思うんですよね(汗)。
 

「今のトレンドにもぴったり合致する’70sなグリーン文字盤」―吉田さん

CITIZEN シチズン コレクション
CITIZEN[シチズン コレクション]

吉田 そうだよね。その点このモデルはU‒5万円と比較的リーズナブル。機械式ムーブメントだし、これはなかなか狙い目。個人的にはこのグラデーションがいいんだよな。’70年代に流行った“ツノクロノ”っぽいじゃん。サイケな感じがほんのりしてたまらない。

CITIZEN シチズン コレクション

武内 ぽっこり膨らんだ風防もクラシックでいい感じ♡ 

CITIZEN シチズン コレクション

吉田 そうそう。シチズンではボックス型クリスタルガラスと言ってるけれど、風防の外周部に立ち上がりをつけて昔のドーム型風防の雰囲気を再現したんだね。

武内 「ヘンリーロンドン」もドーム型の風防だ。これまたアンティークさながらの佇まいだな。英国のスミスのデッドストックと言っても通じるんじゃないですか。
 

「アンティークの時計をよく研究してますね」―武内さん

HENRY LONDON ヘンリーロンドン
HENRY LONDON[ヘンリーロンドン]

吉田 このブランドの誕生は、2人の若いデザイナーがロンドンのノッティングヒルの骨董市で古いスイス製時計を見つけたのがきっかけ。その雰囲気を蘇らせたいとブランドを立ち上げたんだって。にしても、よく雰囲気が再現されていると思うよ。

HENRY LONDON ヘンリーロンドン

武内 ハリスツイードのベルトもクラシックな顔に似合ってる。これも今どきのビズスタイルに映えそう。ダッフルコートに合わせてもホッコリしていいでしょうね。

吉田 改めて思うけど、リーズナブルな価格だろうと本気で探せばイイ時計をいっぱい発掘できるね。

武内 中継ぎどころか、ちゃんとエース級の活躍をしてくれそうなモデルも多かったじゃないですか。

吉田 たしかに。生かすも殺すも、あとは監督の采配次第だね。

紹介した6アイテムはこちら!

 

時計がもっと好きになるキーワード解説

バウハウス
1919年にドイツで設立された建築、芸術、デザインの統合教育機関。その合理&機能主義的な哲学は世界中に大きな影響を与えた。
 
マックス・ビル
バウハウスに学び、多彩な方面で活躍しながらバウハウス理念の継承に力を注いだデザイン界の巨匠。ユンハンスの時計もデザイン。
 
ツノクロノ
リューズとプッシュボタンをケース上部に備えたクロノグラフ。’70年代に流行ったデザインで多くはビビッド文字盤を備えていた。
 
ドーム型風防
昔のプラスチック風防は衝撃に弱く、割れやすかった。そのため強度を上げるためドーム型にカーブさせた風防がよく採用された。
 
スミス
1851年に時計店から出発し、やがて英国を代表する時計メーカーに。クルマやバイクの計器も手掛けたが、今は時計事業から撤退。

ライター 吉田 巌氏

ライター
吉田 巌氏

服、靴、鞄、革小物、そして時計が主なフィールド。スイス新作時計展の取材歴の豊富。

スタイリスト 武内雅英氏

スタイリスト
武内雅英氏

ドレスからカジュアルまで幅広く活躍する敏腕。時計は機械より見た目のカッコよさ重視。

 
※表示価格は税抜き


[ビギン2020年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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