今年、約20年ぶりの復活を遂げ、バイクファンの間で大きな話題となったのがスズキの「KATANA」。1980年のケルンモーターショーで発表された初代KATANA(GSX1100S KATANA)に衝撃を受けた人、というのは実はそんなに多くないかもしれませんが、KATANAといえば、あの尖ったフロントカウルのデザインが思い浮かぶはずです。

発表と同時に大きな話題となった新型「KATANA」

新型「KATANA」は、初代モデルのデザインエッセンスを受け継ぎつつも、やや尖った部分がなくなり、ハンドルもアップタイプとなっています。その復活を喜びながらも、「でも、あの元祖モデルのデザインが……」と懐かしんでしまう人も少なくないはず。新型モデルのほうが性能が高く乗りやすいことは間違いありませんが、今だからこそ“あのKATANA”に乗りたい! というのもアリではないでしょうか。実は「GSX1100S KATANA」は、1981年に輸出モデルとして発売されてから2000年の「ファイナルエディション」まで、20年近くにわたって生産が繰り返されていた長寿モデル。最終型であれば、それほど古いわけでもないのです。

1981年に発売された「GSX1100S KATANA」。ただし、国内モデルの登場は1982年発売の「GSX750S」まで待たなければならなかった

「GSX1100S KATANA」の中古価格を調べてみたところ、161万円〜241万円くらいでした(Yahoo!ショッピングにて検索)。国内向けに販売された「GSX750S KATANA」であれば101万8000円という車体もあります。新型「KATANA」の価格が154万円(消費税込み)ですので、少しがんばれば元祖モデルも決して手の届かない存在ではないように思えます。とはいえ、既に20年選手のバイクですので、新車のように買ってそのまま普通に乗れると考えるのはちょっと早計。空冷のエンジンは意外と丈夫なようですが、ブレーキやサスペンションなどの足回り、電装系などのトラブルに備えて、ある程度は予算を見ておきたいところです。ただ、「GSX1100S KATANA」はカスタム人気も高いモデルですので、カスタムパーツやリプロパーツも結構市販されています。予算さえ許せば、調子を保つことも難しくはありません。

今でも人気の高い「GSX1100S KATANA」は多くのカスタムパーツが揃う

名車「Z1」は高嶺の花になりつつある

KATANAと並び称される日本を代表する名車といえば、カワサキの「Z1/Z2」でしょう。実はこちらのモデルも、昨年に復刻モデルと呼ぶべき「Z900RS」が発売されたばかり。これも大変な人気モデルとなっており、昨年はカワサキをメーカー別販売台数の首位の座に押し上げました。1997年の統計開始以来、同社が販売台数1位の座につくのは初という事実からも、その人気の高さがうかがえるでしょう。

2018年発売の「Z900RS」(写真のカラーは2019年モデル)

「Z900RS」の人気の秘密は、一見しただけで「Z1/Z2」の流れを汲むモデルとわかるデザインながら、最新モデルらしい乗りやすさや走行性能を備えていること。とはいえ、こちらも元祖モデルといえる「Z1」や「Z2」の値段が気になるという人もいることでしょう。調べてみたところ、「Z1」は257万円〜290万円程度。「Z2」は残念ながら出物がありませんでしたが、後継モデルである「Z750 D1」には153万6000円という車両がありました。「Z900RS」の新車価格は135万3000円(消費税込み)であることを考えると、「GSX1100S KATANA」よりは高価といえるでしょう。「Z1」が輸出専用モデルで国内販売はされていなかったこと、それに販売されていた期間が1972〜1976年と短く、生産終了から40年以上が経過していることもその理由でしょう。

1972年に輸出モデルとして登場した「Z1」(正式名称は「900 Super4」)

ただ、「Z」シリーズもエンジンの頑丈さには定評があり、今でも多くのカスタムパーツやリプロパーツが販売されているので、お金に糸目をつけなければ調子よく走らせることも可能です。しかも、「Z1/Z2」のシリンダーヘッドについてはカワサキが再生産することを決定! この秋より受注が開始されています。今でも実際に街中や高速道路などで元気に走っている「Z1」や「Z2」を見かけることがありますが、こうした決定はファンにとってはうれしいニュースです。

メーカーによる再生産が決定した「Z1」のシリンダーヘッド

日本を代表する「CB」シリーズの元祖モデルは?

スズキの「KATANA」、カワサキの「Z」とくれば、ホンダの「CB」シリーズも忘れるわけにはいきません。そもそも、日本製バイクの性能が世界で認められるようになったのは1969年発売の「ドリームCB750 Four」がキッカケ。このマシンがなければ、その後の「Z1」や「KATANA」の人気もなかったかもしれません。奇しくも今年は「CB750 FOUR」の誕生50周年。その節目の年に、ホンダからは「CB」シリーズの最新モデル「CB650R」がリリースされました。

このクラスとしては珍しくなってきた4気筒エンジンを搭載する「CB650R」

「CB750 FOUR」はその名の通り世界初の量産4気筒車でしたが、「CB650R」も中間排気量車では珍しくなりつつある4気筒エンジンを搭載。デザインこそ近未来的な雰囲気ですが、丸目ライトやエンジンからは「CB」の血統が明確に感じられます。

1969年に発売され、世に“ナナハンブーム”を巻き起こした「CB750 FOUR」

さて、気になるのはルーツとなった「CB750 FOUR」の中古価格ですが、残念ながらYahoo!ショッピングには該当車がありませんでした。ほかのサイトなどで検索してみたところ、年式や程度によってバラつきはありますが150万円〜300万円程度で取引されているようです(初期型の砂型クランクケースを採用した“K0”と呼ばれるモデルでは400万円を超えるものもありました)。さすがに、誕生から半世紀が経過したモデルは、手頃な車体を探すのは難しそうです。

どうしても空冷4気筒に乗りたいというなら、ホンダには現行のラインナップに「CB1100」という4気筒の空冷エンジンを搭載したモデルが存在します。デザインは「CB750 FOUR」というよりは1979年に発売された「CB750F」に近い雰囲気ですが、今どき珍しい大排気量の空冷エンジンは、ドロドロという重量感のある排気音を奏でてくれます。

大排気量の4気筒モデルとしては希少な4気筒エンジンを搭載する「CB1100」シリーズ。写真はスポークホイールを採用した「CB1100 EX」

「KATANA」も「Z」も「CB」も、もはや歴史的な遺産ともいうべき存在。もし、この歴史に残る名車を所有したいと考えているのなら、そろそろ最後のチャンスかもしれません。復刻された現代のモデルに乗るのもいいですが、こうした歴史的な遺産が自分のガレージにあるという生活もきっと魅力的なはずです。

 

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構成・文/増谷茂樹

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