特集・連載
みんな絶賛! スローンの“スパイダーニット”がスゴイらしい
暖冬日本のベーシック服・“真”常識 すっかり日本は暖冬が常識に。冬って言葉に惑わされて、防寒しすぎで汗だく……な~んて経験ありますよね? 今までの常識はこの際忘れて、ボクらが買うべきベーシック服を厳選して紹介。これが暖冬日本の“真”常識だ! この記事は特集・連載「暖冬日本のベーシック服・“真”常識」#13です。
大人気のニットブランド、スローンの今季の新作展示会において、男女問わずバイヤー&スタイリストが「スゴすぎる」と絶賛したのがご覧の“スパイダーニット”です。製作背景をディレクターの小峰さんに語っていただきました。
バイヤーもスタイリストも軒並み絶賛!!
編み技4種で象る単色の求心がスゴイ“スパイダーニット”
スローンを立ち上げたのは、自分たちの本当に着たいニットを、適正な価格で提供したいと考えたから。となると、国内生産は必然でした。そもそも日本の機械編みの技術って昔からとても高いんです。
現在世界で使われるフルファッション編み機も、ほとんど日本の島精機製ですしね。もちろん海外の工場も素晴らしいものを作りますが、こちらの意図を理解してもらうまでには相当のエネルギーと時間を要する(笑)。
その点日本の工場であれば細かなニュアンスを作り手に直接伝えることができます。これだけで完成度って全然変わるんですよ。
ラムズウールを3ゲージの“求心編み”で仕上げたご覧のニットも、日本のニッターさんと組んだからこそできたものです。求心編み(球芯編みともいう)とは、ひとつの中心点から放射状に編み目が広がるニットのこと。
島精機の編み機を使用。職人と試行錯誤の末に完成した日本製ならではの求心柄
一般的には色柄で表現されることが多い求心編みですが、それではコーディネートを選んでしまいます。だから今シーズンは、あえて凹凸感のある立体的な編地を、ソリッドカラーで表現したかったんです。
小峰さん作成の指示書。図面で見ると、改めて凝ったデザインであることがわかる。
ちなみにスローンはゲージに合わせて工場を選んでいて、こちらはローゲージを得意とする工場が担当。非常に腕のいいところで、天竺、リブ、ガーター、スレッドの4通りの編みで構成されるかなり変態チック(笑)なニットにもかかわらず、とても美しく仕上げてくれました。
一見ベーシックで肩肘張らずに着られるのに、見る人が見れば必ず唸るという、まさに目論見通りの仕上がりです。
じつは最近日本のニット工場は、年間を通して需要のあるハイゲージ主体のところが多く、秋冬に需要が集中するローゲージ専門、ましてやこういう確かな腕を備えた工場はかなり希少な存在です。
私たちが春夏もローゲージのアイテムをけっこう展開するのは、そういう工場を守りたいからという気持ちも。というか、全体的に見て日本のニット工場は今後減ることはあっても増えることはないでしょう。
だからスローンが日本製ニットのよさを改めてアピールし、工場の皆さんとともに成長できたらと願っているんです。ちょっと格好つけすぎですか?(笑)
スローン ディレクター
小峰明彦さん・談
某アパレルを経て輸入代理店グリフィンインターナショナル入社。本誌でお馴染みの数々のブランドをヒットさせる。現在はフリーの立場で同社とスローンのディレクターを兼務。
SLOANE[スローン]
3Gラムズウール求心編み
14番手の英国産ラムズウールを6本引き揃えた太番手糸を、4通りの編み技を駆使した3ゲージの求心編みに。身頃上部の蜘蛛の巣状のデザインが、ノーブルな雰囲気を湛えている。各3色展開。クルーネック3万1000円、タートルネック3万2000円。(以上、スローン)
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。