特集・連載
ポロシャツはなぜ世界中で愛されるのか? ‐「ポロシャツ」の教科書
定番の教科書 ネイビージャケットやB.D.シャツ、チノパンといったお馴染みの服はもちろん、スニーカーやデイパに代表される靴、鞄、さらにはスポーツカーや食べ物まで、どのカテゴリにも、いつの時代も変わらない「定番モノ」が存在します。いまもなお、定番が定番たる所以とは? 歴史、ウンチク、名作から今買える新傑作まで、世の定番モノをじっくりわかりやすく解説します。 この記事は特集・連載「定番の教科書」#14です。
HISTORY
夏の定番ウェアたるポロシャツも、その登場は1933年と意外や歴史は浅い。しかし誕生の経緯を知るほどに、この伸縮性や吸湿性に優れる生地を用いた半袖シャツが、いかに画期的な発明であり、なぜ世界中で愛されるに至ったのかが理解できます。
目から鱗の歴史と、秘めたる魅力に迫りましょう。
1933年、まったく新しいテニスウェアとしてフランスで誕生したポロシャツは、その後語源となったポロ競技をはじめ、世界中のさまざまなスポーツで着用されることとなる。そして1960年代にはモッズファッションのアイコンに。最先端の街着としての市民権を獲得したのだった。
ポロシャツ誕生前までは
半袖衿シャツなんて
この世に存在しなかった
定番アイテムの基礎知識
シャツ
【ポロシャツ】
●短い前立てを特徴とする、編み地を用いた衿付きシャツ。
●素材使い、シルエット、意匠etc.多彩な革新をシャツにもたらした。
1933年。テニスウェアといえばゆとりのあるクラシカルな長袖シャツだった時代に、ポロシャツは異端児として登場した。考案者はラコステの創始者であり、フランスの看板を背負うテニス選手であったルネ・ラコステ氏。彼は後に、試合シーズンによく“風邪をひく”原因が吸汗性の悪いシャツにあると思いあたり、それがポロシャツ開発の一因になったと回想している。
ちなみにポロシャツの語源については、ラコステ氏がポロ選手の着ていた半袖のニットウェアに衿を付けたのがプロトタイプだから、という説がある。
話を戻すと、長袖シャツを着るのが当然だった時代、突如として鹿の子のタイトなポロシャツを着てコートに立ったラコステ氏は当初、白い目で見られた。しかしすぐに高い機能性が認められ、ポロシャツは多くのスポーツへ浸透。“衿付き”半袖シャツを世に広めた立役者は、ポロシャツだったのだ。
写真/大嶽恵一 工藤 恒(アルフォース) 文/秦 大輔 スタイリング/武内雅英(CODE)イラスト/菊池秀史 取材協力/ファブリカ
本記事に掲載されている商品の価格や問い合わせ先、仕様などの情報は、原則として雑誌Beginの連載に掲載された当時の情報となり、現在の仕様や価格、情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。