今こそ紐解く! ド定番フィールドジャケットの秘密

M-51パーカとM-65フィールドジャケット

野戦用のフィールドジャケットといえば、米陸軍のM-51パーカとM-65フィールドジャケットがド定番でしょ! 本項ではその秘密を紐解きます。

着こなしに美味しいオーバーシルエットはそもそも最後に羽織るモノだから♪


フル装備だとメチャクチャ暖か~い♪

ビッグシルエット隆盛期において気になるM-51パーカ。リアルな軍放出品を着ると、サイズ表記のわりにデカ!って思うことありますよね? 

でもこれが正しき姿。というのもM-51はパーカ、ジャケット、ライナー、パンツからなる一つのレイヤーシステムゆえ。フル装備すると上のようになり、M-51パーカはジャケットの上に着るアウター、つまりオーバーシルエットじゃないといけないんです。
 

ミルフィーユ♡に喩えると……

そしてファッションの我々の大先輩は英国のお洒落集団、モッズ。スクーターに乗る際、自慢のスーツが汚れないように着用し、洒脱なコートとして世界的に広まったのです。
 

モッズコートの愛称でもお馴染み


ファー着脱式の身頃と一体型のフード。燕尾状に先割れしたフィッシュテールもアイコン。

1951年誕生
M-51 PARKA

朝鮮戦争の寒冷域向けに開発された、M-51レイヤーシステムの野戦用コート。ライナーが着脱可能で、気象条件に対応。放出品をモッズが愛用しモッズコート、モッズパーカとも呼ばれる。のちにフィールドを超えてモッズのユニフォームになった。
 

モッズからのファッション化、封鎖できません!

miniタリーコラム
フィッシュテールはただの飾りじゃなく、風を防ぐ機能ディテール!


フィッシュテールと呼ばれる燕尾状の裾は、デザインではない。前後の裾のドローコードを左右の足の太モモに結び、裾のバタつきを抑えて冷気の侵入を防ぐ防風機能なのだ。

M-65の代名詞、エポレットは初期型にはなかった~!

フィールドジャケットの傑作、M-65には衝撃の事実があります。米陸軍の誇りある肩章で、M-65にも欠かせないエポレットが、なんと記念すべき初期型には付いてなかった!

簡素化が目的のようですが、はっきりした理由は謎(苦笑)。ただ礼式を重んじる軍内部で物足りなさを感じたのか、翌年の2ndではエポレットが復活しました。

ちなみにヴィンテージ市場では激レアの目玉で、ファンには通な仕様として注目されています。たしかにエポレットなしは都会的に映えるし、オシャレとしても知っ得な話かもね!


デザインと機能に優れた金字塔ジャケット。フード内蔵式のスタンドカラーが画期的な変更点。

1966年誕生
M-65 1st

ベトナム戦争真っ只中の1966年に支給された。M-51からの大きな変更点は防寒性の高いフード内蔵式のスタンドカラーだ。背面肩にはアクションプリーツを初めて採用した。

1分でわかる! フィールドジャケットの変遷

当初からレイヤーシステムの一つだったが、徐々に単体での防寒性、スペックが向上。M-65は2008年まで納入が続く傑作となった。

※表示価格は税抜き


[ビギン2019年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。