特集・連載
デニム達人インタビュー(2)
「今や、米国人が日本のジーンズを研究しています」ウエアハウス藤木将己さんが語る日本のジーンズとは
デニムマスターポケットガイド 「セルビッジ」「66シルエット」「XX」……ときどき目にするジーンズ用語。「なんとなく」でしか知らない方も多いでしょう。じつは何気ないディテールワードだって大事な意味が隠されているんです。そこでジーンズの歴史と用語を簡単に解説&おさらい! 平成最後に胸にジーンと響く♪デニム特集です。 この記事は特集・連載「デニムマスターポケットガイド」#06です。
今や日本は世界屈指のジーンズ産地。でも、その中身ってどういうことなんでしょ? そこで日本のデニム達人のひとり、ウエアハウス プレス 藤木将己さんにインタビュー。きっとメイドインジャパンのジーンズが欲しくなるはずです。
今や、米国人が日本のジーンズを研究しています
ウエアハウス プレス
藤木将己さん
あらゆるヴィンテージに精通するウエアハウスの看板プレス。ちなみに同社代表はリゾルトの林さんとは、よく飲みに行く間柄。
ジーンズは工業製品 縫製仕様も味の決め手
1995年の設立から、「ヴィンテージ古着の忠実な復刻」を追求してきたウエアハウスカンパニー。なかでも魅せられたアーカイブは、やはり501XXでした。
「とくに惚れ込んだのが’50年代前後のXX。ワークウェアとしてのタフな雰囲気を残しながら、ちょいテーパードしたシルエット、研ぎ澄まされたディテール、力強い色落ちと、バランスが最高潮なんですよね」。
ウエアハウスではデッドストックのXXのデニム解体し、これを参考に糸からデニム地を作製。そしてヴィンテージデニムのミシンでお馴染み、ユニオンスペシャルで縫製するというだけでなく、縫製の手順においてもその工程を徹底して再現している。
異番手縫製や隠しリベットなど創業当初から徹底的に研究していた
各箇所に使われる糸の番手の違い、縫い方を忠実に再現し、わざわざミシンのピッチをミリ単位からインチに変えてセッティング。あげくは裁断から縫製、ボタン打ちに至るまでの全工程を日本で一般的な分業制ではなく、米国同様一つの工場で一貫生産することに。
「正直、そこまでやるの!?、という声もありました。ただジーンズはテーラーメイドではなく、工業製品です。XX時代は工場の管理人が各工程のミシンをセッティングし、流れ作業で担当のスペシャリストが勢いよく縫い上げていた。
こうした縫製仕様があって、XXモデル独特の貫禄だったり、味のある色落ち、アタリが生まれるんです。1001XXは20年以上のロングセラーとなりましたが、日本人じゃないとここまで表現できなかったと思います」。
本場米国から教えを請われたことも多いらしく、「某ブランドから、『昔のミシンの設定を教えてくれ』とか、近頃はジーンズのハード面の話をすることも。日本のジーンズが米国人に認められてきたということですね」。
WAREHOUSE
ウエアハウス
右/1001XX。現在は’30年代のデニムバナーを解析した生地に。2万2680円。中/裾上げ不要の1101加工モデル、通称セコハン。2万4000円(以上、ウエアハウス東京) 左/セコハンをややテーパードにしたビームス プラス別注。2万4000円(ビームス プラス 原宿)
裾は穿き込むごとに、縄目状の硬派なアタリが出るチェーンステッチ。セコハンモデルは裾上げ不要で、そのままウマ味を楽しめる。
脇割りもXXモデルと同じシングルステッチ(本縫い)。生産効率は悪いが、セルビッジデニムならではのアタリがくっきり現れる。
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。