そもそもジーンズは仕事“道具”だったって知ってる?
まずは理解しときましょう。今でこそジーンズは洋服ですが、そもそもは仕事道具。米国のゴールドラッシュで金鉱を掘るワーカーに向け作られた、タフさ自慢の作業着です。1800年代後半、生まれた当時はウエストオーバーオール(腰丈の作業着)と呼ばれていました。
頑強でリアルワーカーの相棒に
リベットが打たれたときジーンズが生まれた
ゴールドラッシュに湧くワーカーは、すぐに破れない丈夫なパンツを欲していました。これに着目したリーバイスは1873年、パンツを丈夫にすべくリベットで補強して特許を取得。そして1890年、2頭の馬が引っ張っても破れない、最高の品質保証を謳う501XXを発売。これが評判となり現代のジーンズの礎となります。
ちなみに同年はリベットの特許期限が切れ、他社も続々とリベット付きパンツを発売しだしました。今日、ジーンズはリベットで補強した5ポケットのデニムパンツと定義されています。すなわちリーバイスがジーンズの起源といわれるわけです。
ロゴデザインでお馴染み
馬が引っ張っても破れない丈夫さをアピールしたロゴは、ツーホースマークとも呼ばれる。
LEVI’S
リーバイス
1890年モデル 501XX
名アーカイブを再現するリーバイス ビンテージ クロージング。501誕生の1890年モデルはベルトループがなく、サスペンダーボタンが付くオーバーオールスタイルにギア感が漂う。3万円(リーバイ・ストラウス ジャパン)
リベットがポケットの補強に打たれた
1890年モデル 501XX バックデザイン
リベットを打った人
ヤコブ・デイビス
リーバイスの取引先だったネバダの仕立職人。パンツの隅にリベットを打つというアイデアを考案。
ジーンズを作った人
リーバイ・ストラウス
リーバイスの創業者。リベットで補強したタフなパンツのニーズに着目し、ジーンズの原型を作った。
WWⅡを経て現在の形になった
501は誕生から少しずつ変化します。1933年にはサスペンダーボタンと尾錠のシンチバックにベルトループが付属。剥き出しリベットのバックポケットを2つ備えた、にぎやかなディテールでした。
その後、徐々にシンプルになるなか第二次世界大戦が勃発。物資統制によりリベットを省略、象徴のアーキュエイトステッチはペンキで代用するなど戦時独特の501が作られます。
戦後、物資統制が解かれると細部がブラッシュアップされ、アイデンティティである要所のリベット、アーキュエイトステッチが復活。現在とほぼ変わらない、501の完成形が出来上がりました。
1933年
LEVI’S
リーバイス
1933年モデル 501XX
1933年モデルでは今では当たり前のベルトループが加わる。依然とサスペンダーボタン、シンチバックの需要も高くさまざまな穿き方が可能に。ワークウェアらしいワイドストレートも健在。3万円(リーバイ・ストラウス ジャパン)
背腰にあるシンチバックは、ウエストを締めるベルト代わりのもの。ヴィンテージディテールとしても人気が高い。
1944年
LEVI’S
リーバイス
1944年モデル 501XX
大戦下の物資統制により仕様が簡略化された、通称“大戦モデル”。軍用の月桂樹ボタン、ヘリンボーンツイルをスレーキに用いるなど、統一性のないさまざまなタイプが存在した。3万円(リーバイ・ストラウス ジャパン)
戦中特有の省略
1947年
LEVI’S
リーバイス
1947年モデル 501XX
物資統制を経て不要なパーツが削がれるも、ウォッチポケットのリベットやアーキュエイトステッチが復活。2本針導入で個体差も減り、洗練とタフさを備えた501の完成形とされる。3万円(リーバイ・ストラウス ジャパン)
実用的なインディゴデニム
コーン社ホワイトオーク工場 旧式の力織機
のちにジーンズとなるリベット付きパンツは、もとはテント用のダック地を使っていました。ただ1870年代から、藍からとれる染料で染色した綿糸をタテに、ヨコに白糸を使ってツイル織りした生地、デニムが主流になります。
天然藍が虫除けになるとの説が有名ですが、理由はなんといっても丈夫なこと、深いインディゴブルーにより汚れが目立ちにくいことがワーカーに支持されたのでしょう。要は仕事道具としてとっても実用的だったんですね。
501のデニムといえば、コーン社ホワイトオーク工場産の赤耳セルビッジデニム。旧式の力織機でゆっくり織られたデニムは特有のムラがあり、味わい深い色落ちが生まれる。
※表示価格は税抜き。
価格記載商品はすべて復刻ラインであるリーバイス ビンテージ クロージングのものです。
[ビギン2019年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。