デカ厚爛熟期
2001~2009年
U-40mmじゃ物足りなく感じるほどデカ厚が主流に。
一方シンプルな北欧時計もスマッシュヒット!
その後も50mmを超えるモデルが登場したり、フランク・ミュラー、ダニエル・ジャンリシャール、アイクポッド、ヨーロピアン・カンパニー・ウォッチなどなど非ラウンド系のビッグサイズが人気を博したりと、デカ厚ムーブメントはさらに過熱。機械式時計のみならず、スントという黒船が襲来したことで、Gショックやプロトレックなどのデカ厚なデジタル時計も軒並みヒットとなりました。
2001年1月号

ちなみに2002年にはケースの横幅をぐぐっと拡大したモデルをボーム&メルシエやコルムなど多くのブランドがリリース。Beginはこうした時計を“ジャイアント幅”と命名してポスト・デカ厚を狙いましたが、残念ながら空振り(笑)。いずれにしろ2000年代半ばには、アンダー40mmの時計を付けていると「なんか袖口が寂しいかも?」と感じる異常な状況になっていました。
2002年7月号

そういえばあの頃は時計以外のアイテムも何かしら見た目にオラオラ感のあるものが流行ったんですよね。モンクレールなどのいかにも高級そうなダウン、シルエットや尻ポケットのデザインに特徴あるセレブデニム、クロコの型押しレザーを用いたダニエル&ボブのようなバッグ……。そうそう、ガルーシャなどエキゾチックレザーの革小物などが流行ったのもこの頃でした。そんなわけで、腕時計にもそれなりのインパクトが求められたんでしょう。
2004年10月号

2006年10月号

2008年ぐらいになると、ケースの大きさだけでなく、文字盤の立体化も進んでいきます。とくにセイコー、シチズン、カシオの国産勢が、高さのある植字インデックスに多層構造の文字盤を組み合わせた超立体的なフェイスデザインのモデルを続々投入してきました。
一方デカ厚時計はもう満腹だという人もやっぱり出てきます。そういう人の心にピタリとはまったのが、スカーゲンなどの北欧デザインの時計。薄型で無駄な装飾性を省いたシンプルなデザインはその人を知的で品よく見せると、ちょっとしたブームに。
2010年11月号

なお本記事の作成にあたり、Begin掲載時計の平均サイズを各年で算出してみましたが、それによると一番大きかったのは2008年の42.45mm。おそらくここがデカ厚人気のピークで、その後ゆるやかにサイズダウンしていきます。
2001~2009年
Begin誌面で紹介された年間の時計本数と平均ケース径
2001年
サイズ表記がまばらに出てくるようになった。
サイズ表記されている時計29本のみの平均は43.0mm(掲載時計すべての平均ではない。あくまで参考データ)。
スントが初登場。それに引きずられてプロトレック、Gショックも大型化がはじまる。
2002年
サイズ表記されている時計19本のみの平均は44.1mm(掲載時計すべての平均ではない。あくまで参考データ)。
「ジャイアント幅」特集も。
2003年
サイズ表記されている時計28本のみの平均は40.6mm(掲載時計すべての平均ではない。あくまで参考データ)。
2004年
サイズ表記されている時計6本のみの平均は40.8mm(掲載時計すべての平均ではない。あくまで参考データ)。
2005年
サイズ表記されている時計39本のみの平均は39.0mm(掲載時計すべての平均ではない。あくまで参考データ)。
2006年
すべてではないが、この年からほとんどの時計にサイズ表記がされるようになった。
サイズ表記されている時計157本のみの平均は39.2mm。
この年にスカーゲンが初掲載。
2007年
誌面で紹介しているほとんどの時計にサイズ表記が。ちゃんとケース径データが取れたなかでは、この年が初の平均40mmオーバー!!!
サイズ表記されている時計276本の平均は40.87mm。
2008年
文字盤の立体化がはじまる。
サイズ表記されている時計260本の平均は42.45mm。時計サイズがピークを迎える。ただしスカーゲンが台頭してくる。
2009年
サイズ表記されている時計154本の平均は41.9mm。