Aug 21, 2018

旬アクセサリーの選び方最終案内〈前編〉

まだまだ暑いこの季節のコーディネートといえば、Tシャツにサンダルといったシンプルなスタイルが定番ですが、それだけではどうも物足りません。で、投入したいのがシルバーアクセサリー。アクセひとつ身に着けるだけで風格が備わり、“格”が上がります。ジャラ盛り着けはご法度ですが、一点勝負や重ね着けでさりげなくアピールしましょ♪　そこで何を選ぶかですが、旬アクセの2大トレンドを参考にしてくださいね！

定番ネイティブ代表

SUNSHINE REEVESサンシャインリーブス

繊細なスタンプワークに目を見張る
ナバホ族のアーティストとして類稀な感性を持つ。数多くのオリジナルスタンプを自在に操るセンスは本物！

サンシャインリーブスのバングル[上] 3万2000円、同バングル[下] 3万5000円。以上（問）ビームスプラス原宿 ☎03-3746-5851

新進デザイナーズ代表

LAVERラバー

銀職人によるハンドメイドの新名作
熟練の職人が一点一点ハンドメイドで仕上げるメキシコ発のブランド。機械のカットもなく、１コマずつ微妙な違いがあり、手仕事ならではの風合いを楽しめます。

ラバーのブレスレット2万2000円。（問）グラビテート ☎03-3464-6588

知らないとマズイ!? 定番ネイティブアクセの基礎知識

部族の特徴を学ぶ

ナバホ族
アメリカ大陸に残るネイティブアメリカン最大の部族。初めて銀を使ったアクセサリーを作ったのがナバホ族と言われています。ターコイズやオニキス、サンゴなどを大胆にあしらったデザインが特徴。他の部族が開発した技術も積極的に取り入れる姿勢でその歩みを止めることはありません。ゲイリー・リーブスやダレル・キャドマンなど、世界的に著名なアーティストも数多く輩出しています。

鏨(たがね)を打ち込んで凹凸を描き出す「チゼルワーク」という技法で、丁寧に時間をかけて作られた極太のバングルは存在感抜群。

アーニー・リスターのバングル30万8000円。（問）ロングブランチ☎03-5449-9522

ホピ族
先史時代よりアリゾナ州からニューメキシコ州、メキシコにかけて居住するネイティブアメリカンで、アメリカ大陸最古の住民と言われています。もともと農耕民族だったために、自然への信仰心から生まれたサンフェイス（太陽）やココペリ（精霊）といったモチーフが頻出します。後述しますが、「オーバーレイ」という高度な技法を完成させたことでも有名です。

ホピ族ジュエリー作家によるバングルは、得意のオーバーレイ技法で伝統的なモチーフを表現しています。

クリフトン・モワのバングル[右]4万7800円、同バングル[左]2万4800円。以上（問）ロングブランチ ☎03-5449-9522

ズニ族
ニューメキシコ州やアリゾナ州を居留地とする民族。銀細工の技術が入ってくる前から、身近だった石や木などを動物の形にしたフェティッシュ（物神）などを作っていたとされています。ニードルポイントやインレイ技法を駆使して作られるアクセは、ほかの部族のものに比べて色彩豊かで、その独特なカラーセンスは世界中から評価されています。

サンフェイス（太陽）をモチーフにした、ズニ族アーティストが手掛ける名品。インレイの細かさと美しさに目が釘付けになります。

ドンデワのリング11万1110円。（問）マライカミティ青山店 ☎03-3797-6679

トゥアレグ族
上の3つはアメリカの部族ですが、こちらはアフリカ・サハラ砂漠を拠点とする遊牧民。1900年代から続く伝統的な柄を配したデザインは他に類を見ません。シルバーの調合から彫りまで、全工程を手作業で製作しています。あのエルメスが過去にバックル製作などを依頼したこともあるとか！

新しいデザインを拒む部族だけに、アフリカの自然を生き抜いていく伝統的な模様が刻まれています。

バングル[太]2万9000円、バングル[細]1万7000円、リング9000円。以上（問）メイデンズショップ ☎03-5410-6686

※“トゥアレグ”は本誌Begin10月号(8月16日発売)で特集していますので、そちらも要チェック！

知らないとマズイ!? 新進デザイナーズアクセの基礎知識

実力派デザイナーの特徴を学ぶ

ジル・プラットナー

サーファーであり、ニューヨークという大都会で生活する女性、ジル・プラットナー氏が手掛けるジュエリーはオーガニックでありながらモダン。ジル氏を取り巻く自然や海からインスピレーションを得て作られるアイテムは、ナチュラルな力強さを秘めつつ、洗練されたデザインを併せ持っています。

ジル・プラットナー

パーツをつなぐ編みひもに、速乾性に優れるゴア社の特殊縫製糸を使用しているので、身に着けたまま海に潜ることもできます。

ブレスレット[左]8万3000円、[右]6万円。（問）メイデンズショップ ☎03-5410-6686

フィリップ・オーディベール

デザイナーであり、彫刻家としても活躍するフィリップ・オーディベール氏が1988年に創業した、フランス発のジュエリーブランド。“高品質でレベルの高いデザイン”をコンセプトに、ユニセックスなアイテムがスタンバイ。デザインや製作はパリでのみ行っており、そこはかとなくノーブルな雰囲気が漂います。

ピューターと呼ばれる錫（すず）を主体とした合金で作られているため、シルバーより黒ズミが少なく、美しい金属光沢を放ちます。

バングル[右]1万2000円、[左]1万8000円。（問）アバハウス原宿 ☎03-5466-5700

ルグラム

パリの建築業界で活躍していたアドリアン・メシエ氏と、メゾンブランドでジュエリーデザインを担当していたエルワン・ル・ルエ氏が出会って意気投合し、2012年に設立。ブランド名は国際測定単位の「グラム」に由来。シルバーの持つ神秘的な美しさを最大限に生かしたミニマルなデザインが特徴で、ユニセックスで着けられます。

ジル・プラットナー

美しいカーブを描く凹凸のない曲線と、無駄な装飾を削ぎ落としたシンプルなデザインは、どんな装いにもマッチします。

バングル7万3000円、リング3万9000円。（問）メイデンズショップ ☎03-5410-6686

ビルウォールレザー

1985年にアメリカのマリブで誕生したシルバーアクセ界の雄ですが、厳選された素材で作られるアイテムとピースフルなモチーフで昨今ふたたび脚光を浴びています。デザイナーのウィリアム・グレイグ・ウォール氏が、生まれ育った海や自然などから影響を受けて作る数々のアイテム群は世界中のアクセファン、セレブリティから愛されています。

“さまざまな境界や対立を越え、皆がひとつになれるように”という願いが込められたハンドシェイクがモチーフ。

バングル4万円、リング2万8000円。（問）インターナショナルギャラリービームス ☎03-3470-3948

アクセサリー基本用語集

インレイ

カラフルな天然石や貝殻、ターコイズなどを細かくカットして、銀細工の型にはめ込んで図柄を完成させる技法。長年の経験が必要とされる高等テクニックで、ズニ族が発祥とされています。ほかに表面を平らに仕上げるフラットインレイ、小さな石を樹脂ではめ込むモザイクインレイなど、さまざまな種類があります。

オーバーレイ

1930年頃にホピ族が発案した技法。シルバーのプレートを２枚重ね合わせて、上のプレートをデザインに沿って切り抜き、下地のプレートに貼りつけます。その後、酸化させて模様を黒く浮き出させるという伝統的なテクニック。一度切り抜いたらやり直しがきかない技法でもあるため、高度な技術が必要とされます。

コインシルバー

アメリカやメキシコの銀貨から作られたシルバーを指します。これは銀が手に入らないため銀貨を溶かしてアクセサリーの素材とした昔ながらの作り方。現代ではヴィンテージコインを収集して銀の塊にして作品を製作することが多くあります。

ジェシー・ロビンズのバングル7万5000円。（問）ロングブランチ ☎03-5449-9522

シルバー925

シルバーアクセサリーの主流となっている素材で、別名「スターリングシルバー」とも呼ばれます。925という数字は銀の含有率（純度）のことで、92.5%のシルバーが含まれていることを意味します。銀は非常に柔らかく、銅などのほかの金属を少し混ぜないと日常では使いにくいため、合金にして強度をもたせています。

スタンプ

ネイティブアクセを代表する技法のひとつで、先端に模様を刻んだ鏨（たがね）を、シルバーの板の表面に打ちつけて刻印してデザインを施す装飾技法。もともとナバホ族が得意とし、1880年代から発展させてきた技法です。コンチョやバックル、ブレスレットに施されるスタンプは各アーティストの個性が色濃く反映されます。