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あの「近大マグロ」とヘリーハンセンの出会いは必然だった⁉【HELLY HANSENの海海総研#1】

今回の研究:

なぜヘリーハンセンが近大水産研究所のウェア開発を行っているのか?

2002年に世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功し、世界をあっといわせた近畿大学の水産研究所。世界の養殖技術をリードするこの研究所のユニフォームに目を向けると、そこにはヘリーハンセンの見慣れたロゴが記されています。

早くから持続可能な養殖産業の研究に取り組み、水産業の発展に貢献してきた近畿大学と、水産業従事者のワークウェアメーカーとして創業し、海の保全活動に注力してきたヘリーハンセン──。このユニフォームは相思相愛の両者が、現状の“課題解決”を目指して共同開発したもの。ヘリーハンセンが培ってきたさまざまな技術が投入されています。

たとえば、素材。ユニフォームのジャケット&トラウザースは、ボディにヘリーハンセンが小松マテーレとともに開発した独自の「リノックス+」生地を使用しています。昔ながらの“カッパ”に用いられるゴム引きの生地は重量が嵩むうえ固く、それがストレスの原因にもなっていたのですが、表側に防水素材を貼り合わせた「リノックス+」は水産業に不可欠な耐針性や防汚性を備えながらもすこぶる軽量。これとスポーツウェアで培った立体パターンが相まって、動きやすく、ストレスのない快適な着用感を生むのです。

ちなみに2018年から取り組みが始まったこのコラボレーション、きっかけは近畿大学の水産研究所職員からの電話だったそう。ファッションシーンでも認められているヘリーハンセンとユニフォームを共作すれば、水産業の未来を担う若い人々にも注目してもらえるのでは?という狙いもあったんだとか。ナイス着眼ですな。ユニフォームの同モデルは、HELLY HANSEN OCEAN HAYAMA MARINAでも販売中。海好き・釣り好きは必見です!

着用アイテム:リノックス ワークジャケット(HH12300KD) 1万9800円、リノックス ワークトラウザーズ(HH22300KD) 1万7600円

海海総研data:

クロマグロの完全養殖に成功し、“近大マグロ”ブランドを創出するなど、水産研究をリードし続けている近畿大学。魚の養殖は農学部水産学科の研究分野ですが、近畿大学は日本最大級のスケールを誇る総合大学であり、2024年度の一般入試の志願者数は、14万6827人で全国1位。一般入試ののべ志願者数は11年連続日本一を誇ります。ヘリーハンセンが手掛けた近畿大学水産研究所のユニフォームも、巡り巡って人気に貢献しているかもしれません!?

すべては船乗りの
“課題解決”からはじまった。
ヘリーハンセン創業物語

水産業のユニフォームを作っていることは分かったけど、どうしてヘリーハンセンがそんな取り組みを? その疑問を解くヒントはヘリーハンセンの歴史に隠れていました。創業当初は水産業従事者のワークウェアメーカーとしてスタートした旨は前述しましたが、もう少し深く掘り下げましょう。ブランドの創業は、1877年。ノルウェーの貿易の窓口であったモス──日本でいう横浜のような港町が創業の舞台となりました。

貿易商船の船長をしていたヘリー・ジュエル・ハンセンは、雨風や波しぶきを浴びる海上では、衣服がすぐにダメになってしまうことに頭を悩ましていました。そんな折に妻の助言もあって開発・商品化したのが、コットンキャンバスに亜麻仁油を染みこませて防水性をもたせた外套。ヘリー・ジュエル・ハンセン、37歳のときでした。水産業に関わる人たちの悩みを画期的なユニフォームで改善したい……近大との取り組みにつながるそんな“課題解決”のDNAは、ヘリーハンセンのルーツにある考え方だったのです。

さらに、その防水ウェアのコレクションを、1878年のパリ万国博覧会に出品すると優れた防水性が評価され、最優秀賞を受賞。名声が早くもヨーロッパ中に広まることになりました。ちなみに当時のコートは、現在もブランドの故郷モスの博物館に展示されています。

ワークウェアブランドから
ライフスタイルブランドへ

そんなヘリーハンセンの“課題解決”精神がウェア以外に発揮されたこともありました。ブランドが創業した1870年代当時、細い路地に民家が密集する港町モスの人々は、火災時の消火活動に使うバケツの重さや不備に頭を悩ませていました。そこでヘリーハンセンが開発したのが、防水ウェアと同じく地厚なコットンキャンバスにオイルを染みこませて防水性をもたせた消化バケツ。金属製のバケツよりも安価で軽量なそのバケツは、海岸で汲み上げた水を火元までバケツリレーするのにうってつけのものでした。にしても、ヘリーハンセンが消火バケツを作っていただなんて意外でしょ?

実際の消火バケツ

“防水”への情熱はブランドの核を成すもので、1924年にはオイルを用いずに防水性をもたせた、ゴム引きの新素材“リノックス”を開発。漁師や船乗りなどのワークウェアに用いられるとともに、美しい光沢からレインウェアの素材として広く人気を博したのでした。

海の“安全”の追求も、ヘリーハンセンの柱。創業初期からライフジャケットの生産に注力し、1932年にはコルクとカポック繊維を防水キャンバスで覆ったライフジャケットをノルウェー海軍へ供給します。ちなみに生産時に生じるコルクの余りを用いて、飲料の瓶の蓋も生産していたんだとか。サスティナブルへの意識が、こんなにも昔からあったとは驚きです。

そして1940年代には、3代目のレイブ・ヘリー・ハンセンが、自身の趣味でもあったセーリングのギア生産に乗り出し、マリンスポーツ分野へと進出します。 1950年代には、寝具のマットレスを作っていた時期もあったのだそう。海にまつわるワークウェアブランドであり、スポーツブランドであり、ライフスタイルブランド──。現在にも受け継がれるこれらの柱は、この時代に確立されていたんですね。

当時作られていたマットレスの広告。こんな時代もあったなんて!

1970年代には、シェル内をドライで温かな環境に保ってくれる画期的なポリプロピレン製のアンダーウェア“リーファ®”を開発。1984年にはオリジナルの防水・透湿素材“ヘリーテック®”を開発し、水辺の快適性の向上に大きく寄与します。これらのテクノロジーは現在もヘリーハンセンの核をなし、ブラッシュアップされながらさまざまなウェアに用いられています。

スタイリッシュなボディに、卓越の機能を凝縮

オーシャン フレイ ジャケット/ ブランドを代表するセーリングジャケット。ボディには、リサイクルナイロンクロスを表側に用いた2レイヤーの“ヘリーテック® パフォーマンス”素材を使用。基布にコーティングをしたうえで防水透湿膜をラミネートすることで、耐久性を高めているのも特筆点だ。なお、擦れやすい腕や裾には、コーデュラナイロンの補強布を配置。これらの補強には、後述するセーリングのプロ選手からのフィードバックが活かされている。雨風の侵入を防ぐスタンドカラーには、蛍光イエロー色のフードを内蔵。要所のリフレクターしかり、海の安全に配慮したディテールが随所に見て取れる。さすがはフラッグシップというべき名品である。(HH12352)3万7400円。

海の快適をキープする、縁の下の力持ち

L/S リファ テック クルー ティー/ 防水透湿シェルの下へ着込むのに最適の軽量アンダーウェア。リサイクルポリエステル&ポリプロピレンからなる“リーファ®”素材のボディは、ダブルメッシュ構造で、肌に当たる内側にポリプロピレンを配置。メッシュの孔が汗を吸い上げ、放出してくれる一方でポリプロピレンは水分を吸収しない性質のため、シェル内を常にドライに保ち汗冷えを防いでくれる。動作を妨げない立体的なパターンなうえ伸縮性もあるため、ランニングなどのトレーニングにも重宝すること請け合いだ。ちなみに背面は“ボトルバック”という酒瓶のような独特のパターンに切り替えられ、さりげないアイキャッチになっている。(HH32365) 8800円。

船乗りのサポートは今もなお。
海洋冒険家でありプロセーラーの
白石康次郎さんとの挑戦も

1人の船乗りによって創立され、1940年代からセーリングギアの製造も手掛けてきたヘリーハンセン。そのノウハウは現在にも受け継がれ、契約するセーリングチームやセーラーたちへユニフォームを供給するなどのサポートを行っています。とりわけ、海洋冒険家でありプロセーラーの白石康次郎さんとの関係は2002年からと深く、およそ100日間を掛けて単独無寄港で世界を一周するヨットレース“ヴァンデ・グローブ”で着用するセーリングウェアの製作も担当してきました。現在は2024年11月に幕を開けるヴァンデ・グローブ用のウェア製作に注力しています。

“海のエベレスト”とも称される究極のレース、ヴァンデ・グローブで勝つためのセーリングウェアには、雨や波しぶきをものともしない防水性、寒さを凌ぐための防寒性や防風性といった要素はもちろん、激しい運動をしても汗を素早く放湿する透湿性や堅牢性、軽量性など、ときに矛盾しあうあらゆる性能が求められます。


ちなみに最新のウェアは、ジャケット&サロペットのセパレート設計。さらなる動きやすさと耐久性の向上を狙って新しい4層構造の素材を開発するとともに、3Dスキャンによって採寸を行い、快適なフィット感を追求しています。白石さんのヴァンデ・グローブへの挑戦については本連載の第5回で詳しく掘り下げる予定なので、そちらもお楽しみに!

“BE WITH WATER”
多くの人を水辺へいざなうために。

ヘリーハンセンのブランドコンセプトは“BE WITH WATER”。そこには“水と共にいきる”という想いが込められていて、一人でも多くの人を海辺へ、水辺へといざなうことをブランドの使命としています。

そのための活動の1つが、安全の啓発。日本では例年、1500〜1800件ほどの屋外の海水難事故があり、およそ半数の方が亡くなられるという悲しい現実があります。事故が減らない原因の1つに挙げられるのが、経験と知識の欠如。そのためヘリーハンセンは、ライフジャケットの着用法をレクチャーしつつ、実際に浮く体験をすることでその重要性と効能を体感してもらう「海の安全教室」を開催するなど、体験を通して安全を啓発する活動を推進しています。

「海の安全教室」の様子

ほかにもライフセーバーが着用するウェアのサポートをしたり、発信器を用いたマリンスポーツ向け捜索支援サービス「ココヘリマリン」とコラボレートするなど、ヘリーハンセンは水辺の安全に寄与する活動を積極的に行っています。

そしてもう1つ、ヘリーハンセンが注力しているのが、“H2O PROJECT®”と名付けられた環境保全プロジェクト。知床の海岸に漂着する海洋ゴミのブイ(浮標)を回収し、フリスビーにアップサイクルする活動もその1つです。「量を考えると環境自体に大した影響はないかもしれないけれど、フリスビーで遊ぶ人の環境保全に対するマインドを喚起できればという想いで活動に当たっています」とは、発案者の談。

リサイクルポリエステルの原料であるペレット

ほかにも、廃棄されるヨットのセイル(帆)を回収してアップサイクルしたり、SEABINという海洋浮遊ゴミを回収する装置を設置するなど、ヘリーハンセンはさまざまな環境保全活動に取り組んでおり、今後はもっと活動の幅を広げていく予定とのことです。

ちなみに“H2O PROJECT®”の名前の由来は“HELLY HANSEN OCEAN PROJECT”。ヘリーハンセンが水を守らずに誰が守るのか?と海の神様が授けてくれたんじゃないかってくらい奇跡のネーミングだと思うのですが、いかがでしょう? さておき、我々ビギンもいちメディアとしてガッツリ応援&注目していく所存です! 

INFORMATION

HELLY HANSEN / ヘリーハンセン

1877年、ノルウェーの港町モスで商船艦長を務めていたヘリー・ジュエル・ハンセンが、防水着メーカーとして創業。現在は、「from ocean to mountain」をコンセプトに、セーリングをはじめトレッキングやスノースポーツなど、海から山までのさまざまなアクティビティを快適かつ機能的にサポートする製品を提供しています。

ヘリーハンセン公式サイト https://www.goldwin.co.jp/hellyhansen/

商品の問い合わせ先/ゴールドウイン カスタマーサービスセンター ☎0120-307-560

※表示価格は税込みです


staff 文/ 秦大輔

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