なぜかモデル名にダジャレが多い シャープペンも心も“折れない”ことが大事らしい……
いつも何気な〜く使っている相棒=筆記具には意外と知らない秘密がいっぱい。書ければ何だっていいでしょ? なんてアナタも、知れば知るほど筆記具の深みにハマるはず。この特集では、21世紀に現れた「消える」ボールペンから、100年以上基本形を変えない万年筆まで、魅惑のペンワールドにご招待します!
思考を妨げないから集中力が高まりまくり
「これがシャープペン!?」
学生のとき以来、ご無沙汰な人はきっとその書き味に驚くはず。特にここ数年は芯の折れないシャープペン競争が激化中。各社、独自の技術を競い合っているんです。
先駆けは2009年に発売されたオ・レーヌ。1mの高さから落としても芯が折れないタフボディは、筆圧以上の衝撃もかわす強さが画期的でした。その後は、ご覧のとおり、さまざまなメーカーから続々登場。
で、中身がどうなっているかを実際にそのシャープペンを使って断面図を描いてみたところ……、書き味は千差万別でも、やっぱり折れない!
こうした技術は長年心折れることなく、折れないペンを追求してきた研究者の情熱あってこそ。ダジャレめいたネーミングは伊達じゃないんです。
三菱鉛筆クルトガ パイプスライドモデル
繊細な芯が強靭な肉体を手に入れた!
描線が細く、ノートをキレイにとれるとあって、2008年の発売初年度から大ヒット。そこへ新機能を加えたのが、こちらのパイプスライドモデル。パイプが用心棒のように芯を守るため、折れにくさもピカイチだ。450円。
“クルトガ”とは「芯がクルッと回ってトガり続ける」という意味
歯車が筆圧により9度ずつ回転し、芯先が円すい形に摩耗。常にトガったままだから、字が太らず細いまま書き続けられる。回転をつぶさに観察できるところにもワクワク!
パイプが芯を守りながら一緒に短くなる
従来モデルはパイプが固定されて芯だけが短くなっていたけれど、新モデルはパイプと芯が一緒に短くなるため、鋭くトガった芯を四六時中ガード。結果、芯折れにも強くなった。
(問)三菱鉛筆 お客様相談室
TEL.0120-321433
https://www.mpuni.co.jp/
ゼブラデルガード
芯を全力で守る“ボディガード”
折れると集中力が切れ、ノートとりも追いつかない。学生のこんな声から2014年に生まれたデルガードは、足かけ5年の渾身作。名前の由来はガードが出る構造から。クッションの利いた書き味もクセになる。450円。
ダブルの構造で筆圧からガード
垂直に筆圧がかかると、バネが芯を上方向に逃がして筆圧を吸収(左)。一方、斜めに筆圧がかかると、ガードの役割をする先っぽの金属部分がニョキッと出てきて、芯を守る(右)。この2つの機構が自動的に働くことで、誰がどう書いても芯が折れにくくなっているのだ。
(問)ゼブラお客様相談室
TEL.0120-555335
http://www.zebra.co.jp/
プラチナ万年筆オ・レーヌ プラス
書き味にYES! 万年筆メーカーの意欲作
芯折れは筆記時だけでなく、じつは持ち歩くときの揺れでも起こる。この事実に着目し、複数のテクノロジーで芯折れ対策を強化して2009年に発売開始。残芯0.5mmまで無駄なく書けるところも魅力的だ。450円。
落下に強く、筆圧からの芯折れも防ぐ“耐芯構造”
芯折れを防ぐ技術がテンコ盛り! その芯折れに対する強度は一般的なシャープペンの約10倍(自社比)。構造がよくわかるようパーツが色分けされており、メカ好き男子にはたまらないルックスだ。
(問)プラチナ万年筆 お客様相談係
TEL.0120-875-760
http://www.platinum-pen.co.jp/
パイロットモーグルエアー
紙面を快走! 気分はモーグル選手
ネーミングはコブ斜面を滑走するモーグル競技と、ペン先がモグって芯折れ防止機構が働く仕組みを掛け合わせたもの。振るだけで芯が出てくる独自のフレフレ機構も、ペンを持ち替える煩わしさがない。500円。
モデル名の由来はスキー競技“モーグル”のコブを吸収するヒザの動きから!!
筆圧がかかるとペン先が自動的にモグり込むことで、2つのバネが作動。書き出すときの筆圧を50%吸収(自社比)。モーグルでジャンプするような浮遊感も慣れるとやみつき!
(問)パイロット お客様相談室
TEL.03-3538-3780
http://www.pilot.co.jp/
ぺんてるオレンズ
ヒントにしたのは製図用のシャープペン
針より細い0.2mm芯とそれを守るパイプが備わるオレンズは、2014年に発売されるとキレイにノートをとりたい今どき女子中高生に人気爆発。パイプが短くなってきたら、一度ノックするだけでまた書けるのも新鮮だ。500円。
芯を出さずに書く!?
オレンズは極細芯全体を常にパイプで覆い、パイプが自然に後退することで書ける仕組み。パイプ先端は紙に引っかからないよう、通常の10倍の時間をかけてなめらかに磨き上げる。
(問)ぺんてる お客様相談室
TEL.0120-12-8133
http://www.pentel.co.jp/
※表示価格は税抜き
[ビギン2017年5月号の記事を再構成]
写真/植野 淳 久保田彩子 文/間中美希子 星野勘太郎 山田純貴 スタイリング/佐々木 誠 イラスト/ニシクボサユリ