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天然皮革や人工皮革に替わる、サステナブルなヴィーガンレザーやエコレザーを採用するスニーカーが珍しくなくなった一方で、100%プラスティックフリー、100%ヴィーガンなエコレザーは今までなかったのだとか。しかしサステブルなスニーカーのトップランナー「オールバーズ」は、最新作「Plant Pacer(プラントペーサー)」にて、業界初100%植物性由来となる「プラントレザー」を採用! まさしく“革”命といえる、妥協なき次世代スニーカーの開発秘話やポテンシャルについて、CEOのティム・ブラウンさんに直撃インタビューしました!

What’s “Allbirds”?

 

 

地球と人間にも優しい、快適スニーカーでブレイク!

 

ケミカルな素材で作られた従来のシューズ製造に疑問を抱き、2016年に米国・サンフランシスコで創設。アッパーからソール、シューレースに至るまで、地球に優しい天然由来の素材を活用し、なおかつ快適に履ける機能的なスニーカー作りで、一躍シューズ業界における台風の目に。

オールバーズ CEO
ティム・ブラウンさん

サッカーの元ニュージーランド代表選手で、2010年南アフリカワールドカップに出場! 引退後、エコなシューズ作りをスタートし、顧客でバイオテクノロジーの専門家だったジョーイ・ズウィリンジャー氏とともに、オールバーズを創設した。とっても真面目で、かつユーモアにも富んだナイスガイ。

100%プラスティックフリーで革の香りまで表現! 高級感あるレザーモデルが新登場

――今回発表した「Plant Pacer(プラントペーサー)」は、クラシカルなコートタイプのモデル「Canvas Pacer(キャンバス ペーサー)」がベースなんですよね?

そうですね。これまではオーガニックコットン、リサイクルポリエステルを使った、軽くて丈夫なキャンバスモデルでした。

――レザーモデルは、キャンバスとはまた違った高級感が感じられますね。フォルムも少しシュッと、スマートに見えるような。

さすがビギンさん、よく気付いてくれました。スマートなフォルムもレザーモデルとしてのよさを、表現したかったところなんです。木型は同じなんですけどね。しなやかで丈夫、ハリのあるプラントレザーだからこそのフォルムですね。

――オンオフにも使えそう。見た目の質感や表情もレザーと瓜二つですね!

そうですね。革の感触やテクスチャーに加えて、しなやかさに耐久性、快適性も追求しました。ただ、一番苦労したのは革の香りですね。

――えっ、革の香りも表現してるんですか!?

はい。香りの専門家も開発に参加してもらいました。

サステナブルなだけでは買ってもらえない

――たしかに革好きは、革の香りを嗅ぎがち(笑)。そこまで徹底したんですね!

人間は古くから革を使っていて、すごく生活に馴染みのある素材。ノスタルジアがあるんです。だから香りも表現しなくてはいけなかった。プラントレザーはレザーの代替として開発したものですが、我々としては革をしのぐ素材を開発しなければいけないと、考えていました。これはすごく重要なポイントで、やはりただ単にサステナブルな商品では、消費者の皆さんは買ってくれない。すごいな、これいいな、と思わせる商品でなければいけないんです。

――なるほど! ところでこのプラントレザーは、米国・イリノイ州の素材革新企業、Natural Fiber Welding(ナチュラル ファイバー ウェールディング、以下NFW社)に投資を行って開発したそうで。共同開発ということになるんですか?

そうですね。NFW社は2015年に設立された企業で、高級自動車の内装にも使われるような、非常に上質な革の代替品を提供していることでも知られています。

――そうなんですね。プラントレザーは世界初となる100%植物性由来ということですが、開発は難しかったですか?

非常に大変でした。先程も言いましたが、一番は香り。原料に用いたユーカリっぽい香りも、ほんのりすると思います。これまで我々はメリノウールを使った温かくて撥水性のあるアッパーや、サトウキビで作られたクッション性に富んだミッドソールなど、イノベーションを起こしてきたけど、それらとはまた違った難しさがありました。ただオールバーズは、「理想を追い求めるのは大変だから辞めよう」という企業ではない。そこに飛び込んでいく企業ですので。

――ちなみに機能的な面でいうと、天然皮革と違って水に強いということはあるんですか?

データはまだ取得していないのですが、個人的な体験でいうと、サンフランシスコで雨の日に履いたことがあります。そのときは全然、水が染みることはありませんでした。

――天然皮革に勝るとも劣らないということですね。

水濡れに対するテストも何度も行いました。フットウェアに使用するうえで重要となる、感触、しなり、耐久性、快適性、香りなどなど、何度もダメ出しをして、ここに至っています。何かの代替という素材は、消費者の期待値を超えていかないといけませんから。ただここで終わりというわけではなく、今後も改善は続いていきます。従来のレザーのいい部分は引き継ぎつつ、逆に従来のレザーにはできなかったこと、プラントレザーだからできることもあると思う。大きな可能性の入り口に立てたと思っています。

革新的な新素材はみんながwin-winになる

――プラントレザーはNFW社と共同開発したものですが、オールバーズ以外のブランドやメーカーは使用することができるのですか?

現在はオールバーズなど一部のブランドだけが使用していますが、いずれはそうなっていくと思います。我々の根底には“コミュニティ”というDNAがあります。例えばオールバーズはブラジルのグリーンエネルギー企業と協力し、EVAの代替としてクッション性に優れたミッドソール「スウィートフォーム」を開発しました。それをオープンソースにして、現在では100以上のブランドが採用しています。これは単にオールバーズが“いい奴”だから、というわけではありません(笑)。技術を開放することによって、みんなが使ってくれれば、スウィートフォーム自体のコストが下がります。だからwin-winなんですよ。これはすなわち環境にもビジネスとしてもメリットがあるということ。これまでのシューズ業界の競争の原理も、変わってくるのではないでしょうか。

――プラントレザーの誕生が、人工皮革の存在にも影響を及ぼすかもしれませんね。最後にブランドとしての、今後のビジョンを教えていただけますか?

今はシューズ業界に限らず、ファッション業界や自動車業界など、さまざまな業界が、素材を見直さなければいけない変革期。自然回帰の流れが起きていて、オールバーズはそのイノベーションを牽引する存在でありたいと思っています。またシューズでいうと、環境への負荷を削減しながら、何よりも高い快適性を追求していきたいですね。あと最後に一つ、日本の皆さんにお伝えしたいことがあります。日本は古くから自然との共生を大切にしてきた国。素晴らしいモノ作りの文化もあり、オールバーズとしてもすごく親しみを感じています。日本には直営店が3店舗ありますから、プラントペーサーをはじめ、ぜひオールバーズのシューズを手にしてみてください。

世界が注目する「Plant Pacer」の全貌をCHECK!

万能な使い勝手、履き心地も◎。さらに人にも優しい!

クラシカルなコートデザインでさまざまなコーディネートに合わせやすく、ビジネスにもスマートに馴染むレザーモデル。100%植物性由来のプラントレザーを使用したことで、従来の牛革よりも88%、合成プラスティックレザーよりも75%低いカーボンフットプリントを実現した。ミッドソールには優れたクッション性を誇るスウィートフォームを使用している。

360°ぐるっとCHECK!

ナチュラルホワイト

ドリーミーグリーン

さらにカップインソール仕様、ユーカリ由来のライニングは通気性が高く、履き心地のよさも抜かりがない。カーボンフットプリント8.24㎏ CO2e。カラーはナチュラルブラック、ナチュラルホワイト、ドリーミーグリーンの3色展開。各1万8500円。

問い合わせ先/オールバーズ ☎0800-080-4054
https://www.allbirds.jp
※表示価格は税込


写真/若林武志 取材・文/桐田政隆

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