ウティ デザイナー 宇多悠也さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは　#056

「コルクを開ける所作まで美しくしてくれる、特別な道具」
ウティ デザイナー 宇多悠也さん

服と同じくらいワインが好きかも!?　と思う今日この頃。ナチュラルワインの著名な生産者であり、友人でもあるパトリック・ブージュ氏のワイン樽を柄に用いたソムリエナイフが出たと聞き、購入しました。

見た目が美しいのもさること、フランスの刃物の名産地であるティエールの名門、ペルスヴァル謹製とあって、使い心地は素晴らしいのひと言。スクリューがコルクへスッと入るあたりも、やっぱり違いますよね。

葡萄の栽培に農薬や化学肥料を用いない、醸造に酸化防止剤を入れないなどナチュラルワインの定義はありますが、僕が面白いと思うのは表現の幅が無限にあるところ。天候の問題もありますし、添加物を入れないことで味が安定しにくい反面、作る人や天候、土地柄を映し出す味になるんです。

そしてリスクを冒してナチュラルワインで勝負しようという生産者には、ワインを表現として捉えている人が多い。写真の「ドメーヌ・ラ・ボエム」の「ルル」然り、彼らのワインは、寝かすとびっくりするほど美しい味わいに変化する。そんな理想を追求する姿勢にいつも刺激を受けています。

抜栓する時間なんてほんのひと時ですが、お酒の楽しさは人や場も含めた、すべてが込み。だから僕は栓を開けるにもいい道具を使って、所作も美しくありたいと思うんです。まあ結局、楽しく飲めるのが一番なんですけどね。

PERCEVAL［ペルスヴァル］
ソムリエナイフ

テーブルナイフの世界的名門より。仏・オーベルニュにワイナリーを構える醸造家、パトリック・ブージュ氏のワイン樽を柄材に用いたソムリエナイフ。947本限定のシリアル刻印入り。3万6300円（ペルスヴァルジャパン）

 
※表示価格は税込み

［ビギン2022年6月号の記事を再構成］スタッフクレジットは本誌をご覧ください。