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+CLOTHETのSeer Sucker Easy Trousers

Vol.1とVol.2で紹介したように、ウールはファッション的にも機能的にも“夏こそ着たい”メリットが盛りだくさん。そんなウールは天然素材という点も見逃せません。夏のウール特集の最終回となる本記事では、そのサステナビリティにも触れながら素材としての魅力を紹介。ウールを知り尽くした識者4人が語る、ウールが我々にもたらす恩恵とは?(こちらの記事は夏のウール 10人の証言のVol.3です)

【1人目】+CLOTHET 岡田さんが証言!
「ウールは総合的にバランスのとれた機能素材」

+CLOTHETの岡田敏雄さん

1人目はテキスタイルサプライヤー最大手、スタイレム瀧定大阪のオリジナルブランド「+CLOTHET(クロスクローゼット)」を手掛ける岡田敏雄さん。天然素材からハイテク化繊まで精通する岡田さんは、ウールは総合的にバランスのとれた機能素材だと話します。

「総合的なバランスでウールと同等の機能を持つ生地は、化繊では作れないと思います。ウールより速乾性が高いものやストレッチ性が高いものは作れますし、今もありますが、これらの機能をバランス良く高い水準で備えた素材は多分作れない。また、ウールに見える素材は作れても、同等の吸放湿性を持たせるのはなかなか難しいと思うんです」

ウール最大の機能と言えば、吸放湿性による体温調節機能。今でこそ体温調節できる機能素材は化繊でもありますが、何かを立てると何かが難しくなると岡田さん。全体的にバランスのとれた素材はウールのみだと言います。

「さらにウールは再生可能な天然素材という点も特徴です。羊の毛は次から次へと生えてきますし、ウール100%の製品は土に還りますから。機能性に加えて、こういったサステナビリティまで備えた素材はウール以外には見当たりませんね」

+CLOTHETの岡田敏雄さん

スタイレム瀧定大阪はさまざまな素材をブランドに提供している繊維商社。サステナブルなウール生地は、やはり近年注目度が増しているのでしょうか?

「海外のブランドさんにも素材を卸しているのですが、そこでは基本的にサステナブルでエコな素材でなければ見向きもされません。海外では、サステナビリティはもう標準装備になりつつあるので、そういった意味では日本のブランドはまだまだこれからだと思います」

いくら機能的な素材でも、エコじゃなかったら海外ブランドからは相手にされないのだとか。

「ウールに限らず、例えばポリエステルもすべてリサイクルに変えていったり、綿でもオーガニックに変えたり。このような動きが進んでいるなかで、ウールのサステナビリティは非常に注目されています」

岡田さんのイチオシ!

+CLOTHETのSeer Sucker Easy Trousers

+CLOTHETの今季イチオシが「TECHWOOL Seer Sucker Easy Trousers」。ウールをベースに高機能繊維ソロテックスを組み合わせることで、それぞれの機能性を高め合った新感覚のシアサッカー素材を使用。トラウザーテーラー・五十嵐徹氏監修によるダブル仕上げのトラウザーで、耐久性に優れたプリーツ加工にも注目です。

「ウール本来の機能性にソロテックスの機能性をプラスすることで、しなやかさやストレッチ性が増しています。糸が呼吸するというか吸放湿するため着心地も抜群。あとは綿やポリエステルの一般的なシアサッカーとは異なる、ウール混ならではの高級感も特徴ですね」

コチラも注目!

+CLOTHETのSeer Sucker Easy Jacket

同素材を使用した「TECHWOOL Seer Sucker Easy Jacket」も注目です。ジャケットテーラー・吉田泰輔氏監修によるシアサッカージャケットで、クラシックな表情や美しいシルエットでありながらソフトな着心地を実現。パンツとあわせてセットアップで楽しみたいですね。

「ウール100%もしくはウール高混率の素材を使って機能性を持たせた、弊社の素材ブランド『TECHWOOL』シリーズのアイテムです。このシアサッカーはウール混率66%のオリジナルハイブリッド素材で、ウォッシャブルやストレッチなどの機能を備えています。このほか、織り方で機能性を高めたウール100%のアイテムも展開しています」

【2人目】メーカーズシャツ鎌倉 佐野さんが証言!
「ウール素材は地球環境を考えた場合の最適解」

メーカーズシャツ鎌倉の取締役 佐野貴宏さん

2人目は、メーカーズシャツ鎌倉の取締役を務める佐野貴宏さん。同社が手掛ける高品質なシャツは「鎌倉シャツ」の愛称で親しまれています。メイン素材はコットンですが、2年前からウールのドレスシャツを展開。そこにはウールのサステナビリティが大きく関係していたそうです。

「ウールの機能性の前に、地球環境を考えた場合の素材としてウールに着目しました。コットンも天然素材ですが、栽培には少なからず地球環境に負荷がかかってしまいます。その点ウールは、無害とは言わないまでも自然な形で生成するもの。羊は定期的に毛を刈らないと病気になる可能性があるので、毛刈りは羊にとってもメリットですし、“刈る→毛が伸びる→刈る”は持続可能どころか無限ループじゃないですか。これは絶対ウールの時代が来る!と思いましたよ」

再生可能な素材としてウールを高く評価する佐野さん。機能面に関しても、自身が10年以上ウールTシャツを愛用していたことから不安は一切なかったと話します。

「夏でもウールTシャツを着ていたので、機能に対しては強い確信を持っていました。商品化するにあたって、ウールの吸放湿性や衣服内の体温調節機能であるとか、抗菌防臭といったウールの代表的な機能について実感できていたのが大きかったですね」

メーカーズシャツ鎌倉の取締役 佐野貴宏さん

メーカーズシャツ鎌倉では、ウールのドレスシャツに続き、昨年からウールTシャツを展開しています。ウールの機能性について、佐野さんのお気に入りポイントを伺いました。

「一番はサラッとした着心地ですね。やっぱりウールの吸放湿性は魅力だと思います。汗はドバッと毛穴から突然出るわけではなく、少しずつ肌から出て汗になって流れるという段階があります。ウールTシャツを着ていると、その前段階のジメッとする感覚がありません。それを感じられるのが特に夏で、風呂上がりのウールTシャツって最高ですよ」

また、ウールの防臭性にも注目しているという佐野さん。体臭ケアはもちろん部屋干し対策にも効果的だと話します。

「ゲリラ豪雨も増えていますし、共働きなど現代のライフスタイルは必然的に部屋干しが多くなるので、ウールの消臭機能は魅力的だと思います。……考えれば考えるほどウールの弱点が見当たりませんね。商品の価格は高いかもしれませんが、長く着られることを考えるとコストパフォーマンスは非常に優秀ですし。とにかく一度着ればヤミツキになるはずなので、ぜひ一度着てもらいたいですね」

佐野さんのイチオシ!

メーカーズシャツ鎌倉のメリノウールTシャツ

そんな佐野さんのイチオシは、先ほどの話にも出てきた「メリノウールTシャツ」。Super100’sのメリノウールを100%使用し、天竺素材によるストレッチ性と、さらりとした着心地が特徴です。

「ジャケットに使うような梳毛で、Tシャツにするには贅沢過ぎる72番手双糸を使っています。首元の後ろを少し高く設計するなど、シャツ作りと同様に首回りのパターンや縫製にかなりこだわりました。上品な光沢もあるので、Tシャツ単体での着用はもちろん、ジャケットとの相性も抜群です」

コチラも注目!

メーカーズシャツ鎌倉のウォッシャブルウールシャツ

メーカーズシャツ鎌倉が手掛けた最初のウール製品「ウォッシャブルウールシャツ」。ウール100%なのにケバ立ちのない薄手でラグジュアリーさを感じる生地が魅力。自宅の洗濯機で洗え、しかもシワができにくく、アイロンがけが楽なのも◎です。ストライプのほかギンガムチェックもラインナップ。

「仕事をしている時もウールの着心地を味わいたい!と思い、Tシャツより先に作ったのがこのシャツです。これを着ていれば快適に働くことができるので、ある意味、自分で作り出す職場環境としては最高だと思います。卓上扇風機を使うよりはるかにお洒落ですし、自分だけが心地良いことを知って活動できるのはリッチだと思いませんか?」

【3人目】PUBLIC TOKYO 谷野さんが証言!
「本当に良いものを求めるならウールは外せません」

TOKYO BASEの谷野達郎さん

3人目は「PUBLIC TOKYO」のデザイナーを務める、TOKYO BASEの谷野達郎さん(残念ながらお顔は非公開)。以前からサマーウール製品を展開していたが、今はコットンよりウールウェアのほうが売れていると話します。

「最近のサマーウールは肌触りが良いものが増えてきました。見栄えも良いし、涼しいし、セールスも好調で、今では主軸アイテムになりつつあります。カジュアルでも少しきれいめがトレンドなので、ウールの光沢感や見栄えの美しさ、大人っぽさみたいなところが人気の理由だと思います。シワになりにくいので、きれいな顔を保ちやすいところもポイントですね」

例えばビッグシルエットのシャツも、綿ではなくウールだからこその質感やドレープ感が支持されているそう。さらに最近は高品質なウールが増え、加工技術も向上しているため着心地の良さもアップしているのだとか。

「以前のようなチクチク感がなく、ストレスなく着用できます。敏感肌の方でも着られる製品が作れるようになってきたので、そこは人気の後押しになっていますね。放熱性もあるので快適さが長く続きますし、しなやかに体に追従してくれるので本当に着心地が良いですよね。そこは1回体験しちゃうと戻れなくなるくらいの中毒性があると思っています」

TOKYO BASEの谷野達郎さん

また、夏のウールアイテムが人気になったのは、見栄えの良さや機能性のほかに、サステナブルな天然素材である点も大きいと谷野さん。

「コロナ以降は良くも悪くも、良い製品を本当に欲しい人しかお買い物に来てくれなくなりました。我々のような中価格帯のいわゆるファッションブランドに来てくださる方は、より良いものを欲しい、良いものに対してはお金を出したい、というマインドをお持ちの方が多いので、僕らも中途半端なものづくりというよりは、突き抜けて良いものをご提供しています。そしてこのようなお客様は、少なからずSDGsに関心を持たれています。天然素材のウールは土に還りますし、動物の毛なのでまた生えてきます。半永久的に循環するサステナブルな素材なので、そういったところが心情的にもすごく刺さりやすいのかなという印象があります」

服にあまりお金をかけない層と、少し値段は張っても良いものを求める層。コロナ以降、この線引きがはっきりしてきた現在、本当に良いものを求める人の視線は天然素材に向いていると谷野さんは言います。

「ストレッチ性や速乾性など、これまで服に求められていた機能が、今では付いているのが当たり前の時代になってきたので、お客様の要望も次のステージに上がっているのかなと。そうなってくるとやっぱり天然素材をブレンドしていく方向にしたほうが味わいも出ますし、高見えもする。着心地などさまざまなところも良くなるのかなと思いますね」

谷野さんのイチオシ!

PUBLIC TOKYOのS140ウールスーパールーズシャツ

そんな谷野さんのイチオシは、PUBLIC TOKYOの「S140ウールスーパールーズシャツ」。Super140’sウールを50%、ポリエステルを50%使用。超極細番手の糸を使っているため、ウールのチクチク感を全く感じさせないシルキーな肌触りと、毛羽の少ない光沢のある質感が特徴です。

「半袖なんですけど7分・8分袖くらいのビッグシルエットになっているので、今っぽいこなれた雰囲気に着こなせます。デザインとしてはレギュラーシャツなので使い勝手が良く、ウールの質感と相まって上品見えするアイテムに仕上がってます。かなり売れている商品で、Tシャツ1枚じゃちょっと……という時にも重宝するのでおすすめです」

コチラも注目!

PUBLIC TOKYOのトロンウールライトジャケット

Super100’sウールを40%使用した「トロンウールライトジャケット」は、汎用性の高いシャツジャケット。ボタンレスに見えますが、ホック式でシングルとセミダブルに留めることが可能。着丈と身幅のあるリラックスシルエットで、共地のパンツとのセットアップも楽しめます。

「着心地が最高に良いです。今まで作ったウール製品の中でもピカイチ。ウールはSuper100’sで、レーヨンが入っているのでツルツルしていて気持ち良いんです。非常に薄いうえ、湿気を吸放湿するのでTシャツ1枚より、これを羽織っているほうが涼しく感じるかもしれません。短パンにサンダルでバンドTの上から着ても成立するし、セットアップに革靴を合わせてもOK。幅広いシーンで活躍するアイテムです」

【4人目】e-Begin編集長 本田が証言!
「ウール製品は服に込められた想いが伝わってきます」

e-Begin編集長の本田純一さん

最後はe-Beginの編集長・本田純一がウール愛を語ります。話し出すと止まらないウール愛をかいつまんでご紹介!

「ウールの魅力は何と言っても見た目と機能のバランスの良さ。光沢のある上品な質感なので、コーデに1点取り入れるだけでサマになるんです。いくら暑いからといって我々大人がTシャツ+短パンだとだらしなく見えることもありますよね。そんな時はウールシャツを羽織るか、パンツをウールパンツに変えるだけで解決してしまうんです」

そんな上品見えする素材なのに機能面も文句ナシ。ここがウールのすごいところだと本田は熱弁。

「本格的な登山では、ベースレイヤーにウールが選ばれているのが良い証拠です。これだけ多くの機能素材が開発されているのに、生死をかけたアウトドアシーンでずっと着続けられているってすごくないですか!? ウールが持つ吸放湿性や消臭機能が、人間にとって快適&重要であることがわかりますよね」

e-Begin編集長の本田純一さん

これまで多くのウェアに触れてきた本田は、服選びにおいてストーリーも大事にしているそう。デザインや機能はもちろんのこと、そのウェアが完成するまでの背景や想いなども気になると言います。

「なぜこのデザインになっているのか、どういう意図でこの素材を使い、この製法で仕立てたのか。そういった背景やストーリーを知ることが、その服を買う後押しになるというか、大人の服選びなのかなと最近思いますね。いま注目されているサステナビリティもその一つではないでしょうか」

昨今ウール製品が増えてきた背景には、素材の機能的なメリットだけでなく、地球環境を考えるブランド側の想いがきっとあるはず。その想いを受け取り、ウール製品を選ぶ人もまた増えている。

「世の中にある全ての衣類で、ウールの使用量はどれくらいあると思いますか? 実は重量ベースでわずか1%しかないんですよ。知れば知るほど、着れば着るほど優れた素材なのにあまり魅力が伝わっていないのが現実です。もちろん綿や化繊がダメということではありませんが、もっと多くの人がサステナブルな天然の機能素材“ウール”に興味を持ってもらえたら嬉しいですね」

本田のイチオシ!

ディッキーズのBegin別注 コンバットウール ジャストカットスラックス

そんな本田のイチオシは、ディッキーズの「Begin別注 コンバットウール ジャストカットスラックス」。ディッキーズの大定番「874」よりやや細身の「873」をベースに、上質なコーデュラ コンバットウールをワイドテーパードにのせた1本。コーデュラ コンバットウールは、米軍の「後方支援部隊の制服としてウール混の耐久素材を採用したい」という要請から生まれた特殊な素材です。これをディッキーズのウェアに用いたのは、なんと今回のビギン別注が初!

「こんな上品なディッキーズ見たことありますか? ウールが入るとお馴染みのディッキーズがここまで表情を変えるんですよ。まるでドレススラックスのような風貌で、オフはもちろん、オンのジャケットスタイルにも対応します。丈を切らずに穿ける、ちょい短めジャストカットもポイント。洗っても消えにくいセンタークリースも健在です」

コチラも注目!

FDLTのメリノウール ロンT ウールリッチのシアサッカーシャツジャケット

このほかビギンマーケットでは多くのウール製品を取り扱っています。Super120’sの上質なエクストラファインメリノウールを100%使用したFDLTの「メリノウール ロンT」や、新登場のウールリッチ「WOOLMIX SUCKER ユーティリティシャツ」など豊富に展開。ぜひ一度チェックしてみてください♪

「FDLTのロンTは、日本で編みたて日本で縫製したアイテムです。高い吸湿性と抗菌防臭効果が魅力で、夏は涼しく冬は温かい。チクチクしない滑らかな肌触りと、程よくゆったりとしたサイズ感も◎です。ウールリッチのシアサッカーはウール52%、ポリエステル44%、ポリウレタン4%を使用。ウールの機能性にストレッチ性が加わった軽い着心地のシャツジャケットで、セットアップで着用できる短パンも展開しています」

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