ニュージーランドからまたも大物マッケンジー来日! ラグビー「リーグワン」1月8日開幕
1月8日(土)、いよいよジャパンラグビー リーグワン(以下、リーグワン)が産声を上げる。昨年まで18シーズンに渡り開催されてきたトップリーグが刷新され、チームの地域密着、そしてリーグ自体や各チーム運営のプロ化への道筋が一気に進むことになる。日本ラグビーのターニングポイントとなる新リーグだ。
当初は1月7日に開幕する予定だったが、開幕戦出場が決まっていた埼玉パナソニックワイルドナイツに新型コロナウイルス陽性の選手が確認され、5日の段階で中止が決定した。また、NECグリーンロケッツ東葛に所属していた外国人選手(すでに契約解除)が薬物所持の疑いで逮捕されるなど波乱の船出となってしまったリーグワンだが、それでも新時代到来への期待度は高い。
その期待を大きく押し上げているのが、東京サントリーサンゴリアスに加入した現役ニュージーランド代表「オールブラックス」のフルバック兼スタンドオフ、ダミアン・マッケンジーだろう。ピッチ最後方からの爆発的なラン、ステップ。どの瞬間を切り取っても芸術的と言えるプレーを日本でも連発するはずだ。
プレースキックを蹴る前のルーティンで見せる笑顔から「微笑みの貴公子」の異名を取るが、「ダミアンかDマックと呼んでほしい」と笑顔で語るマッケンジーは、昨年末の入団記者会見でこのように語っている。
「これまでにも来日の機会があり、人のやさしさを感じるなど日本にはいい印象を持っていた。日本でプレーすることは時間の問題だった」
「リーグワンでプレーするのは新しいチャレンジ。スーパーラグビーとはフィジカルの強度が違うが、リーグワンはより早い展開のラグビーとなり、そこにフォーカスしている。日本で学んだことをニュージーランドに持ち帰り、スコッド(代表候補)に入っていけるように成長できたらと考えている」
トップリーグのラストイヤーにあたる昨季1シーズン、サントリーと契約し期待通りの活躍を見せたニュージーランドの至宝、スタンドオフ兼フルバックのボーデン・バレットも日本での成長を目標に来日した。マッケンジーは今回の契約に当たり、敬愛するバレットから助言を受けたという。
「いろいろ相談させてもらった。何を聞いてもクラブ(東京サントリーサンゴリアス)に対するポジティブな話しかなかった。マネジメントもしっかりしているということなので、楽に決断できた」
来日に向けて迷いがなかったというマッケンジーは、バレットと同じくスタンドオフとしての成長を目指している。
「希望としてはスタンドオフでプレーすること。理由は自分のスキルにある。特に日本のコンペティションでは自分の力を発揮できると考えている。もちろんチーム事情が優先なので、フルバックでの出場もあるだろう」
1月8日(土)のチーム開幕戦のメンバーが発表されマッケンジーは15番、すなわちフルバックでの先発となり、今回は希望通りとはならなかった。しかしスタンドオフとしての能力が高いことは前所属のチーフス、そしてオールブラックスでも証明済みで、どちらのポジションもできることはチームにとって大きなプラスだ。今後も10番(スタンドオフ)と15番(フルバック)のどちらを背負うのか、毎節チェックが必要だ。
「ラーメンがすごくおいしい。日本食が好きなので楽しめている」と早くも日本の文化に溶け込んでいるマッケンジーはもちろん、南アフリカ代表フランカーのピーターステフ・デュトイとニュージーランド代表ロックのパトリック・トゥイプロトゥ(いずれもトヨタヴェルブリッツ)、オーストラリア代表ウイングのマリカ・コロインベテ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)といった大物たちも各チームで活躍を誓うリーグワン。日本代表選手も含め、社会現象となった2019年のラグビーワールドカップさながらの熱く明るい話題を振りまいてくれるはずだ。
齋藤龍太郎
《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。