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ジャパンラグビー 試合

にわかファンからコアファンまで、ラグビーを愛する人々がこぞって楽しみにしていた日本ラグビー界最高峰の戦い、ジャパンラグビートップリーグ(以下トップリーグ)。当初は1月16日(土)開幕予定だったが、一部のチームの選手、関係者がPCR検査で陽性と判定された影響で、開幕のわずか2日前に延期が決定した。

やむを得ないとはいえ残念な決定であったが、その後2月20日(土)に開幕日をずらす形で仕切り直しとなったこと、また予定されていた大会フォーマットを変更して開催されることが発表された。

当初は16チームが2つのカンファレンスに分かれて総当たり戦を行い(ファーストステージ)、その後、並行して開催されるトップリーグの下部リーグ「トップチャレンジリーグ」9チームのうち上位4チームを加えた20チームを4つのプールに分けて、各プール内で5チームが総当たりに(セカンドステージ)。その各プール上位2チーム、つまり計8チームがトーナメントに進出し、準々決勝、準決勝、そして決勝と展開されていく(プレーオフトーナメント)はずだった。

そこから、開幕の延期に伴いシーズンが1か月ほど短縮されることとなり、フォーマットを変更。全7節からなるファーストステージだけは日程や会場を一部維持、また一部変更しながら予定通り開催し、その後に予定されていたセカンドステージを行わず、トップチャレンジリーグ上位4チームを加えた20チームによるトーナメントを開催、ノックアウト方式の優勝争いを行うと同時にその結果によって最終順位を決定することになる。

今後も新型コロナウイルスの影響次第でスケジュールやフォーマットが再変更される可能性もあるが、主催の日本ラグビーフットボール協会の岩渕健輔専務理事、トップリーグの太田 治チェアマンは「今大会は何としても成立させたい」と繰り返し強調している。

ジャパンラグビー トップリーグ2020 プレスカンファレンス
空前のラグビーブームのなか、幕を開けたトップリーグ2020シーズン。だがコロナ禍により最終的に中止、不成立となった。

その理由として第一に挙げられるのは、開催国の日本のみならず世界中が沸いたラグビーワールドカップ2019日本大会の閉幕後に開催された2020シーズンが、コロナ禍の影響によりシーズン途中で中止され不成立となったことだ。2シーズン連続での不成立は避けなければならないと主催者が決意を強くするのは当然だろう。

それ以上に大きいと言える第二の理由が、およそ1年後の2022年1月にトップリーグに代わる新リーグ(名称未定)が開幕することだ。つまり今季はトップリーグのラストイヤーとなり、しかもその最終順位が新リーグのディビジョン(階級)分けに直結する仕組みになっているのである。

1月に発表された内容によると、新リーグは参戦を表明済みの現行トップリーグの16チームに現行トップチャレンジリーグの9チームを加えた計25チームで行われる。うち、12チームが優勝を争う「DIVISION(ディビジョン)1」に入り、6チームが2つのカンファレンスに分かれる形で2度の総当たり戦および交流戦を行う。プレーオフは行われず純粋に勝ち点制で順位を争い、勝ち点が最も多かったチームが新リーグの初代王者となる。

また、優勝チームを筆頭とする上位の数チームには「クロスボーダーマッチ」と呼ばれる他国リーグの上位チームとの対戦への出場権が付与される。どのリーグのチームと対戦することとなるかは未定だが、スーパーラグビーの日本チームとして5年間存続したサンウルブズの活動が昨年をもって休止となったことを考えると、このクロスボーダーマッチがレベルの高い海外の強豪チームと真剣勝負できる貴重な場になることは間違いない。

DIVISION1の1段階下の階級となるDIVISION2は7チームで、総当たり戦を2度行ったうえで上位4チームと下位3チームに分かれて総当たり戦を行い、勝ち点で順位を決定する。上位4チームはDIVISION1の下位4チームと入れ替え戦で対戦し、勝てば次シーズンはDIVISION1に昇格となる。

DIVISION3は6チームで構成され、2度の総当たり戦のみで勝ち点制により順位が決まる。試合数は1チーム10試合、全30試合と、DIVISION1(1チーム16試合・全96試合)やDIVISION2(1チーム14or15試合・全51試合)よりも少ないが、この階層に入るチームには会社員として社業と並行してラグビーをプレーする選手が多くなる見込みであることから、あえて少ない試合数で組まれているという。なお、上位3チームがDIVISION2の下位3チームとの入れ替え戦に臨むことができる。

つまり、最初にDIVISION1の12チームに入れないことには新リーグの優勝争いに関わることができず、当然クロスボーダーマッチへの参戦の可能性も断たれる。何より、上位チーム同士のレベルの高い試合を経験できないことは組織としては損失だ。昇格のチャンスが入れ替え戦の一発勝負のみと狭き門であることからも、初年からDIVISION1でスタートを切り、その階級を維持しながら年々レベルアップを図りたいという意志を、特に現トップリーグの16チームは強く持っているはずだ。

仮に今季トップリーグが不成立となった場合は、2017-2018シーズンから過去5シーズンの戦績を考慮してディビジョンの振り分けが行われる。しかし、シーズンが不成立になることなど誰も望んでいないはずだ。最後のトップリーグが無事開催され、レベルの高い激闘が連続の末にシーズンとして成立、白熱した順位争いを楽しむだけでなくラグビーそのものの魅力を存分に堪能できる。そんな戦いになることを心から願うばかりだ。

編集者兼ライター
齋藤龍太郎

《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

文・撮影/齋藤龍太郎

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