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防水透湿素材、ゴアテックスを使ったハードシェルは、今やワードローブの定番となりました。でもお手入れの知識があやふやだったり、ハイテクウェアゆえに洗濯しちゃいけないんじゃ……。そんなふうに思ってる人も多いんじゃないでしょうか? じつはゴアテックスシェルは、洗濯こそが長~く性能をフルに活かして着るための選択! その理由をビームスのアウトドア賢人、廣沢 慶さんが教えてくれました。

『ゴアテックスって意外と簡単に家庭で洗えるんです』

1990年代からゴアテックスシェルに袖を通してきた廣沢さん。聞けばゴアテックスを使ったシェルは、サプライヤーであるゴア社も洗濯を推奨しているんだそうです。「ゴアテックスシェルは、水を弾く撥水性のある表面の生地と、防水透湿性を持つゴアテックス メンブレンの圧着でできています。じつは生地の表面には、撥水基という微細な柱が並んでいて、これが水をコロコロと弾く撥水機能となっているんです。ウェアってパッと見はキレイでも使い続けていると意外と汚れていて、そうすると撥水基が倒れてきます。すると撥水機能が低下して表面に水が停滞してしまう。そうなるとメンブレンによって防水性はあれど、蒸れたように感じるんです。つまりシェル本来の機能が発揮されてない状態ですよね? これを修復するのが洗濯なんです」。倒れた撥水基は、洗濯することで汚れを落とし、乾燥させて熱を加えると柱が立ち上がるようになっています。「洗濯することで撥水性も元に戻り、シェルの機能が回復するわけです。また、見落としがちですが外側だけでなく内側にも汗や皮脂の汚れがたまっていて、シェルの劣化の原因になることもあります。こちらも同様に汚れを落とすことで劣化も抑えられ、結果的に寿命も延びるんです。ゴア社のオフィシャルなアドバイスにもありますが、ウェアの洗濯取り扱い表示がOKなら、自宅洗濯OK。洗って乾燥させ、さらに乾燥機やアイロンで熱を加えると撥水性が戻ります。私も家で普通に洗濯していますよ」

 

『洗うことでシェルの寿命がグッと延びます』

一番左 アークテリクス(22年選手)
「ゴアテックスのシータAR。濃紺の「Too Blue」を使った2トーンブルーが特徴ですね。この頃からアウトドア業界で、アークの色使いのフォロワーが一気に増えました」
左から二番目 CMH(10年選手)
「世界初のヘリスキー会社のオリジナルで、ガイドやゲストが着用するシェル。アークテリクスが生産していて、これはデザイナーのマイク・ブレンカーンからいただいたものです」
中央 アークテリクスのプロトデザイン(20年選手)
「ゴアテックスの新素材のイメージデザインの公募で作られた、いわばプロトタイプ。こちらも当時のアークテリクスのデザイナーの一人がデザインしており、同社のアークテリクスの副社長から『なんでそれ持ってるの?』とツッコまれました(笑)」。
右から二番目 パタゴニア(25年選手)
「1995年にサンフランシスコのパタゴニアで購入したスーパーアルパインJKT。マンゴーイエローの色も特徴で、この頃はパタゴニアの色使いの、フォロワーが多かったですね」
一番右 セブンメッシュ(5年選手)
「2015年に元アークテリクスのメンバーによってスタートしたセブンメッシュ。当時のローンチの際の記念モデルです。自転車のライディングに適したパターンも特徴ですね」

 

普段使いやスキー、アウトドアでも使ったら洗ってますね

洗濯方法や注意点を聞いてみると、「それほど難しいことはなく、私は普段の洗濯物と同じように洗ってますよ。ただ少し注意を言うなら、洗うときは洗濯中の絡まりを防ぐため、ファスナーをすべて閉じたほうがいいですね。逆に干すときは通気性をよくするため、ファスナーはすべて開けましょう。また熱を加える際はアイロンを使うのですが、シェルを傷めないよう低温設定、スチームなしで、必ず当て布をしてください。これはマストですね。私は普段使いの他スキーでも使いますが、冬場は数回、シーズン終わりという頻度で洗っています」

『洗って長く着る、これが高価なシェルの賢い“センタク”です』

ハイテクなゴアテックスシェルは、高価なものも多いだけに、洗濯に及び腰になるという話も聞きます。「たしかに高価で上質なニットのように、自宅で手軽に洗濯しちゃいけないんじゃ、というのはわかります。そうした方にぜひ、洗うことで素晴らしいポテンシャルを発揮する事実を知っていただきたいですね。各ブランドのゴアテックスシェルは、ゴア社の厳しい規格をクリアすることで、他のシェル以上の水への強さ、ドライで快適な着心地を実現しています。また一時ゴアテックスを採用しなくなったブランドが、再びゴアに戻る、使う例もよくあって、ハードシェルのトップであることを物語ってる。つまり何となく洗わずに着てるのは、非常にもったいないこと。私は1998年に購入したアークテリクスのシータARを今でも愛用してますし、皆さんにも愛着あるゴアテックスシェルに出会ってほしいですね」

ビームス 廣沢 慶さん

ファッション、アウトドアカルチャーに精通し、アウトドア部門のバイヤーを経て、原宿のショップスタッフとして活躍。伝説的なアークテリクスの別注、クレイジーカラーシェルを手掛けたことでも知られる。冬はテレマークスキーでゴアテックスシェルが活躍するそう。

 

文/桐田政隆 写真/若林武志

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