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「倫理性」、「持続可能性」という意味を持ち、地球環境&生態系の破壊を減らそうとする「エシカル」や「サスティナビリティ」というコンセプトは、今やファッションの世界でもっとも注目されているキーワードです。そんななか、岡山県倉敷市に拠点を置く国産デニムブランド「JAPAN BLUE JEANS」が目指すのは「世界一エシカルなデニム」。水なし加工にコートジボワール綿、果てはリンゴの”皮”パッチ!? そんな誰も挑戦したことないデニムの生産現場を取材しました。(【中編】【後編】はこちらから)

「エシカル」「サスティナブル」と聞いて、何をイメージしますか?

・発信力のあるハイブランドやセレブが積極的に使うトレンド(!?)ワード
・使う(買う)側のメリットがよくわからない
・「エシカル=正義」はちょっと違う気がする

なんとなく上のようなイメージを持っていませんか? 世界的な有名ブランドやメーカー、海外セレブがこれみよがしに発信しているのは知っているけれど、だからこそど~も身近に感じられない…。そもそも、それって本当に僕らにメリットある? な~んて思えちゃうんですよねえ。盲目的に「エシカルだからイイ」みたいな風潮にもちょっと疑問が。とはいえセレクトショップをはじめ、おなじみのブランドでもチラホラ見かけるようになって、無視できないキーワードであることもまた事実なんです。JAPAN BLUE JEANSの「世界一エシカルなデニム」への取り組みは、「エシカル」というキーワードを理解するよい契機となるはずです。

Mission.1 水

デニム1本作るのに数千ℓの水を使う、という事実に向き合う


一部からデニム産業は「汚いビジネス」と言われることがあります。その最たる原因は、生産過程で膨大に消費される水。染色や洗いといった工程を経るなかで、デニムパンツを1本製造するのに数千リットルもの汚れた水が排出されるという事実は、エシカルなデニムを作るにあたって真っ先にクリアしなければいけない問題であり、もっとも難しい問題でした。

1日250~300トン使う水の80%を再利用

JAPAN BLUE JEANSは、デニムの聖地・児島で50年以上の歴史を持つ染色・洗い・加工の老舗「晃立」と2017年から取り組みを進めてきました。瀬戸内海一帯は漁業地帯でもあるため、そもそも排水規制はとくに厳格なものがありますが、目指したのはその一歩も二歩も上のレベル。3年以上の歳月をかけて、海水を飲料水にする浄化技術を応用し、さらにハイレベルな浄化設備の開発に成功。なんと80%の水を再利用できるほどに! 試行錯誤の末にそれをはるかに上回る浄化技術を獲得した晃立は、結果的にさらなる躍進に繋がっているんですって。ココだけの話、生産現場の取材で、浄化設備を覗かせてもらえることは極めて稀なこと。同社の「排水」への気概がうかがえますよね!

試行錯誤の連続。それが工場を支える力になる


洗いをかけられたデニムパンツが進む次なる工程は加工です。買った瞬間から味な色落ちが楽しめる加工デニムは今やすっかり定番。そんな当たり前となっている加工の工程においても大量の水を消費します。JAPAN BLUE JEANSはここにも真っ向から取り組みました。

採用したのはオゾン加工と呼ばれる水の消費が極端に少ない加工技術。15年以上前からその技術自体はありましたが、従来の加工に比べてややグレーみがかってしまう仕上がりは、お世辞にもパーフェクトな風合いとは言い難かったといいます。それでも、加工を担う協業先「アシナ」とともにオゾンでの加工感を追求してきました。2014年から試行錯誤を続けノウハウを蓄積、ついに水の量を3分の1に減らした加工デニムの製品化に至ったのです。「アシナ」もまた、このオゾン加工を武器に新たなビジネスのチャンスに恵まれているそう! 「水の排出を減らす」というチャレンジそのものが、じつは企業の成長エンジンになっているワケなんですね。

まだまだ水は減らせる


さらに2019年10月、新たな加工技術が誕生しました。JAPAN BLUE JEANSの取り組み先の一つである同じく岡山県・児島地区に拠点を置くデニム加工の新鋭「フーヴァル」。「e-flow」なる加工設備を導入し、デニム加工に最適化させたのです。詳しくは企業秘密なので言えないのですが、デニムに液状の薬品を噴霧して加工を施すことが可能で、驚くべきは排水を70~80%削減できるってこと! しかもヴィンテージと見紛うほどに風合い豊かでリアルな色落ちが再現できるんだとか。現在2020年秋冬シーズンの製品化に向けて取り組みを進めているそう。

中編「コートジボワールコットンはデニムの原点!?」に続く

JAPAN BLUE JEANS
Ethical Productシリーズ

Ethical Product –Jeans-
JAPAN BLUE JEANSが定番として展開しているCIRCLE(サークル)シリーズをベースにクラシック、ストレート、テーパードの3タイプを展開。太ももから裾にかけてゆるやかにテーパードしたストレート(上写真)は、オーセンティックでありながら、足元をすっきり見せることができる。すべてのシルエットで、コートジボワールコットン製のオリジナルデニムを使用し、セルビッジの一方にはその証としてコートジボワールを象徴するオレンジ×グリーンが。ちなみにもう一方は日本をイメージした赤×白。製品が役目を終え、リサイクルされるときのことも考えてリベットも省略されている。ワンウォッシュは洗いに使用する水を80%削減、加工はオゾン加工により水の使用量を3分の1に抑えている。パッチはリンゴの皮製。ワンウォッシュ1万6000円。加工2万2000円。

Ethical Product –Denim Jacket-
2ndタイプのデザインをベースに、13.5オンスのコートジボワールコットンデニムを採用。前立ての裏側にセルビッジを配置し、デニムと同様、コートジボワールをイメージしたオレンジ×グリーンがチラリ。ほんのり赤みがかったインディゴデニムは、原種に近いコットン製ならではの素朴な風合い、ヴィンテージのような自然な色落ちが楽しめる。もちろんデニムと同様に水の使用量を大幅に削減して生産されている。こちらのパッチも革パッチならぬ、リンゴの皮パッチだ。ワンウォッシュ2万2000円。オゾン加工2万8000円。

Ethical Product –T-Shirt-
セットインスリーブのオーセンティックなTシャツも、コートジボワールコットン100%生地を使用。ベンガラ(オレンジ&レッド)や桑(ライトグリーン)、インド藍(サックス)やザクロ(ベージュ)など、草木染めの優しい色みに好感がもてる。右裾にはコートジボワール100%の証であるタグが備わり、エシカルな心意気を密かに主張。全5色展開。各8000円。

問い合わせ先/
ジャパンブルー
☎086-486-0002
https://www.denimlabo.com/japanbluejeans-about/

 

中編「コートジボワールコットンはデニムの原点!?」はこちら
後編「ジャパンブルーが考えるエシカルの原動力」はこちら

※表示価格は税抜き


写真/中島真美 文/編集部

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